換気状況に応じた炭酸ガスの「変則施用(へんそくせよう)」の増収効果
2021年8月26日
担当部署名/農政環境部地方機関県立農林水産技術総合センター農業技術センター農産園芸部
1 概要
トマトのハウス栽培では従来、収量向上のため炭酸ガス施用が行われてきましたが、より高い増収効果が得られる新手法として、ハウスの換気状況に応じて施用濃度を自動調節できる炭酸ガス施用技術を開発しました。
2 開発した技術の内容
従来の炭酸ガス施用では、ハウスの換気窓の開閉状況に関わらず、光合成が行われる日中に外気と同じ400ppmの濃度をキープする方法が採用されています。しかし、植物は炭酸ガス濃度が高いほど光合成が盛んとなるため、日中の換気窓が閉じている時間帯に、炭酸ガスをより高濃度で施用することで、光合成をさらに促進できます。
具体的には、換気窓が閉じている時は800ppmの高濃度で、開いている時は外気並の400ppmを保つように設定し、ハウス内の炭酸ガス濃度が設定値を下回った際に、炭酸ガス発生装置で施用します。この方法は、炭酸ガス発生装置と換気装置を同じ制御システムに接続することで、可能となります。
なお、炭酸ガス施用によりトマトの光合成が盛んとなって吸水が増加し、培土や土壌が乾燥しやすいため、灌水量は従来の栽培方法より10%程度増加させます。土壌水分センサー等の設置が効果的です。
加温抑制作型(11月~翌年3月まで収穫)のトマト栽培において本技術を導入すると、トマトの光合成が促進され、果実糖度を維持しつつ約20%の増収が可能となります。
10a当たり年間費用は約24.4万円、増収により売上げが45.4万円増加し、21万円の収益増加が見込まれます。
3 今後の展開
換気状況によって炭酸ガス施用濃度を調節できる環境制御システムが導入された施設への普及を図ります。
4 問い合わせ先
農林水産技術総合センター農業技術センター農産園芸部
〒679-0198 加西市別府町南ノ岡甲1533
電話:0790-47-2423