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更新日:2020年6月17日

意見書 第36号

中華人民共和国全国人民代表大会における香港の国家安全に関する決定に適切な対応を求める意見書

 5月28日に閉幕した中華人民共和国(以下、中国という。)の全国人民代表大会において、国家分裂や中国政府の転覆を狙う活動などの取締りを目的として、香港に国家安全法制度を導入する方針が採択された。

 1997年に香港がイギリス政府から中国に返還された際、「一国二制度」のもと、「高度な自治」を認め、従来の香港の制度を50年間維持するという約束がなされたが、それを中国側の一存で変更することはゆゆしき事態であり、決して看過することはできない。香港に国家安全法が施行されると、「高度な自治」が形骸化し、これまで香港市民に認められてきた言論や集会の自由が失われることが懸念される。

 今後とも、香港において、民主主義の原則、人権の尊重や法の支配が重視され、香港が約束された「一国二制度」、「高度な自治」が維持されることが必要である。

 香港は国際的な経済都市であるとともに、兵庫県にとっても県内企業が多数事業展開し、県産農産物等の主要な輸出先の一つであり、また、在留県人も数多く現地で活動するなど、経済・観光をはじめ幅広い分野で交流を深めてきた都市である。この度の中国政府の動きに対して、アメリカ政府は、香港に対する関税や査証などの優遇措置を見直す可能性を示しており、今後、香港のビジネス環境の激変とともに、地域間での経済をはじめとする交流の行方が懸念される。

 よって、国におかれては、経済・貿易・観光に関する我が国と東アジアとの窓口である香港の自由で開放的なビジネス環境を維持するため、中国政府及び香港特別行政区政府に対し、他国とも連携して必要な働きかけを行うよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和2年6月17日

 

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官        様
総務大臣
外務大臣
経済産業大臣
農林水産大臣

兵庫県議会議長 長岡 壯壽