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2025年6月27日
担当部署名/兵庫陶芸美術館 直通電話/079-597-3961
1.展示の概要
兵庫陶芸美術館では、国内外で活躍する著名な作家を招聘し、若き作り手たちに刺激を与えるとともに、幅広い人々により深く陶芸に親しんでいただくため、2006年より「著名作家招聘事業」を実施しています。第20回となる今回は、動物の骨格と装飾をテーマに独創的な立体作品を制作し、国内外で注目を集めている気鋭の作家・秋永邦洋氏(1978-)をお迎えします。
兵庫県尼崎市で制作している秋永氏は、プロダクトデザインに憧れ、大阪芸術大学で陶芸を学びますが、そこで、自由なフォルムやテーマを追求する「現代陶芸」と出会い、自分なりのスタイルを模索していきます。精密旋盤による金属加工の工場を営む父の影響で、幼少期から金属という素材や高度に完成された機械部品の精巧な美しさに魅せられていた秋永氏は、土を自由にかたちづくることができる「手びねり」、金属のような鈍い光沢を放つ「黒マット釉」を自身の造形のベースに据え、曲線を活かしたシャープな抽象形態を追求しました。
転機となるのは2007年。シンプルなフォルムから一転、「装飾」というテーマが現れ、植物模様をデフォルメしたような複雑な形態へと向かいます。そして、洋の東西問わず、様々な図案を参考にしながら制作するうちに、今度は「なぜ、人は装飾するのか。装飾とは本質を偽装するものではないか」との思いに至ります。それは、真偽の分からない情報が氾濫し、本質が見えにくくなっている現代社会のイメージとも重なり合い、2012年、装飾(偽装)された動物(生)の骨(死)という衝撃的な作品《擬態化》シリーズが生まれました。尽きることのない人間の欲望と、欲望を満たした後に漂う死と儚さ。それは、何万年でも残っていく恒久性を持つ一方、衝撃に弱く壊れやすいという二面性のある陶の本質が、自身の求めるテーマと深く共振していくものでした。
このたび、秋永氏を代表する《擬態化》シリーズの集大成ともいうべき大作《擬態化(龍)》・《擬態化(虎)》を一対で展示するとともに、その後に新しく展開した《朧気》シリーズも合わせて展示します。流れるような曲線の重なり合い、金属質の黒の釉薬の妙、そして、どこか隙のない、人工的な美しさを放つ秋永氏の創造の世界。新しいシリーズでは、仮想と現実の間で揺れ動く「存在とは何か」を問いかけます。
(1)会期 2025年6月4日(水曜日)~11月24日(月曜日・振休)
(2)場所 兵庫陶芸美術館展示棟1Fエントランス
(3)観覧料 無料
※同時開催の特別展・テーマ展の観覧には別途料金が必要です
2.関連事業 秋永邦洋氏によるスライドレクチャー&ワークショップ
招聘作家である秋永氏によるスライドレクチャーとワークショップを以下のとおり開催します。
(1)スライドレクチャー
日時 8月16日(土曜日)13時30分~15時00分
場所 当館研修棟1階セミナー室
定員 100名(事前申込制、先着順)
参加費 無料
申込 美術館ホームページまたは別添チラシ掲載の申込フォーム(QRコード)から、お申し込みください。
(2)ワークショップ
日時 8月17日(日曜日)10時00分~15時30分
場所 当館エントランス棟1階工房
定員 20名(事前申込制、抽選)
参加費 3,000円(材料費、作陶指導費、焼成費、観覧料等込)
申込 美術館ホームページまたは別添チラシ掲載の申込フォーム(QRコード)から、お申し込みください。
締切 7月22日(火曜日)結果は募集期限後に申込者全員にお知らせします。
3.問い合わせ
(1)特別展示
兵庫陶芸美術館学芸課 マルテル坂本・村上
Tel079-597-3965(学芸課直通)Fax079-597-3967
(2)関連事業
兵庫陶芸美術館企画・事業課 四鬼
Tel079-597-3961 Fax079-597-3967