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更新日:2022年6月1日

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第358回(定例)兵庫県議会 知事提案説明(令和4年6月1日)

本日、第358回兵庫県議会の開会にあたり、県政推進に日頃からご指導いただいている議員の皆様に敬意と感謝を申し上げます。

はじめに、新型コロナウイルスの医療現場を支えていただいている医療従事者や関係者の皆様に、あらためて感謝申し上げます。あわせて、県民や事業者の皆様の感染防止対策のご協力に感謝申し上げます。
新型コロナウイルス感染症の対応については、新規感染者数の減少や病床利用率の改善の傾向を踏まえ、本日より、入院医療体制を、現行のフェーズⅤ「感染拡大特別期」からフェーズⅢ「感染拡大期1」に変更し、病床数を1,000床程度、宿泊療養施設を1,500室程度の運用としました。また、飲食店などに対する人数及び時間の制限を解除するなど、県独自措置を一部緩和しました。マスクについては、暑さが厳しさを増す中、屋外でまわりとの距離がある場合などは、熱中症予防の観点からも、着用の必要はないこととしています。
引き続き、社会経済活動の活性化と感染再拡大の防止の両立に取り組みます。

ロシアによるウクライナ侵攻が長期化しています。県では、庁内プロジェクトチームや県内市町との連絡体制を構築し、支援を進めています。ウクライナから本県へ一時避難された方々に対し、相談窓口を開設したほか、物資等の提供のための公民連携プラットフォームを立ち上げました。ふるさとひょうご寄附金には、現在、県内外から約5,000万円のご寄附をいただき、避難民の方々が、安心・安全に過ごすことができるよう、生活支援に充てています。皆様からのご支援ご協力に心より感謝申し上げます。

県政の推進にあたり、今年度、特に意を用いているのは、現場主義の徹底と対話の重視です。積極的に県内各地域をまわり、医療や交通、観光、教育など様々な生きた課題を肌で感じています。現場の声は、地域の未来を拓く源であり、しっかりと吸い上げ、的確に対応していきます。引き続き、県議会と緊密な連携を図りながら、取り組んでまいりますので、ご指導をよろしくお願いします。

提出議案の説明にあわせて、諸般の報告をいたします。

まず、原油価格・物価高騰及び新型コロナウイルス感染症への対応と補正予算の説明です。

今年の1月から3月期のわが国における実質GDPは年率マイナス1.0%と2四半期ぶりのマイナス成長となりました。また、ウクライナ情勢を巡る先行きの不透明感や円安の進行などにより、原油価格や物価高騰がすすんでいます。
これにより、既にコロナ禍で厳しい環境に置かれている方々の生活や中小企業等の事業活動に大きな影響が出ることが懸念されます。この影響を緩和し、県民生活や社会経済活動の安定を図らなくてはなりません。
先般、国において、「原油価格・物価高騰等総合緊急対策」が決定され、昨日、補正予算が成立しました。本県としても、これを活用し、事業者や生活者への支援を実施するとともに、新型コロナウイルスの次なる波に備えるため、補正予算を編成することとしました。

その1は、原油価格などの影響を踏まえた事業者の経済活動の支援です。
原油価格や原材料価格の高騰などにより、売上が減少し、経営が逼迫している中小企業や個人事業主を支援するため、一時支援金を支給します。迅速な支給により、事業者の経済活動を下支えします。燃油価格高騰の影響を受けているトラックや公共交通事業者に対し、一時支援金を支給するとともに、便数等を維持して運行に取り組む事業者を支援します。農林水産事業者に対し、省エネ園芸機器や飼料の自給生産に必要な機器などの導入支援を行うとともに、飼料価格の高騰に対して支援を行います。ウッドショックによる木材の価格高騰や漁網などの石油系漁業資材の価格高騰などに対する支援を行います。また、ボイラー等の燃料として重油を多く使用しているクリーニング店や公衆浴場事業者に対して、一時支援金を支給します。
中小規模の事業者などの省エネ化や新事業展開を促進し、環境変化に対応した、安定的な経済活動基盤の確立を図ります。
中小企業等に対する新事業展開支援に、省エネ設備の導入のための特別枠を創設します。企業へのサイバー攻撃が深刻化している中、攻撃に気付かない企業も少なくありません。中小企業への啓発を強化することにより、最も入り口段階である「気づき」を支援し、相談や実装など既存の対策に繋げます。
省エネ型農業への転換を進めるため、施設整備などを支援する農業施設貸与事業に、省エネ生産に資する機器などを導入する特別枠を創設します。輸入依存度が高い小麦の県産化を進めるため、作付けの団地化や営農技術・機械の導入などに対し支援します。

その2は、県民生活の安定化に向けた支援です。
物価高騰に直面し支援を必要とする方々への支援を強化します。
市町と連携して、低所得のひとり親世帯などへの生活支援特別給付金を支給します。また、官民連携による地域の生活困窮者支援体制を構築するため、プラットフォームを整備し、NPO法人等の活動を支援します。
心身ともに負担の大きいヤングケアラーとその家族に対し、配食サービスの提供を行い、負担軽減を図るモデル事業を実施します。経済的に困窮している学生に対して、大学などと連携して、食料品等を支給し、学生の生活を支援します。子ども食堂に対し、物価高騰により増加する食材費を支援します。特別支援学校など学校給食等を実施している県立学校の給食費の増額分を支援し、保護者の負担軽減を図ります。
また、ふるさと寄附金を活用したウクライナ避難民への生活支援を実施します。

その3は、新型コロナウイルス感染症対策の推進です。
感染力が強いオミクロン株による感染拡大に伴う第6波の経験を踏まえ、次なる波に備えた対策を講じます。
第6波では感染が急拡大し、自宅療養者が急増したことを踏まえ、リーダー看護師の配置やパルスオキシメーターの直接配送を行うなど、自宅療養者等相談支援センターの体制を強化しました。あわせて、自宅療養者・待機者への食料品などの配布について、個別ニーズに応じたきめ細やかな支援を実施する市町を支援します。
また、高齢者施設等における感染拡大を防止するため、施設従事者の集中的検査を迅速化するとともに実施頻度を増やします。
若い世代のワクチン接種が十分に進んでいません。大規模接種会場における予約なしでの接種や県内大学への働きかけなどの取組に加え、大学から大規模接種会場などへの送迎に要する経費について、国の補助に上乗せして補助します。
60歳以上の方などに対する4回目のワクチン接種を、6月中旬以降、県の大規模接種会場で開始する準備を進めています。また、本日より、18歳以上でmRNAワクチンに対するアレルギーがある方などを対象に、国内製造である武田社ワクチン(ノババックス)の接種を開始します。

次に、諸般の報告をします。

その1は、新たな兵庫の成長・発展に向けた基盤づくりです。

(スタートアップ等への支援)
兵庫に新しい成長の種をまき、育んでいくためには、社会の課題解決に果敢に挑戦するスタートアップの創出・成長を支援していくことが不可欠です。若者の起業家精神を醸成するため、県内4大学に加え、県内6校の中学校・高校で、実践型教育プログラムを実施する「ひょうごスタートアップアカデミー」を始めました。
たとえ起業に失敗しても何度でも起業に挑戦できる環境を整えるため、再チャレンジ起業家の支援にも取り組みます。

(地球温暖化対策推進計画改定、再生エネルギーの導入促進)
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、この3月に地球温暖化対策推進計画を改定しました。2030年度の温室効果ガス削減目標について、国を上回る48%削減とし、再生可能エネルギー導入目標を100億kWhに引き上げました。この目標の達成に向け、初期投資を必要としないPPA方式を活用した再エネ導入など官民連携で取り組みます。
また、4月に国の脱炭素先行地域として、姫路市、尼崎市、淡路市が選定されました。これら3市はもとより、市町と連携して地域の脱炭素に向けた取組を推進します。

(水素社会実現に向けた取組)
去る4月9日、神戸港において岸田首相出席のもと、日本とオーストラリア間の液化水素運搬実証の成功を祝う式典が催されました。日常生活や産業活動で水素エネルギーを利活用する水素社会は、着実に現実のものとなりつつあります。
本県においても、知事をトップとする推進本部を立ち上げ、水素モビリティの普及や、水素関連産業への中小企業の参入支援、水素利活用に向けた機運醸成など、取組を加速させます。特に、姫路港を中心とする播磨臨海地域は、発電所や鉄鋼・化学工業などが立地し、将来的に大量の水素需要が見込まれます。水素サプライチェーンの拠点化も含め、カーボンニュートラルポートの形成に向けた検討を進めます。

その2は、兵庫五国の地域の価値向上です。

(大阪・関西万博に向けた取組)
大阪・関西万博の開幕まで3年を切りました。兵庫県として、関西での万博の開催機運をさらに盛り上げるなどするため、庁内の推進本部を近々立ち上げ、取組を本格化させます。「ひょうごフィールドパビリオン」については、県内各地のSDGsを推進する体験型・周遊滞在型のプログラムの募集に向けて、着実に取り組んでいきます。
また、万博を契機に、人・モノ・投資を呼び込むため、兵庫県域の大阪湾ベイエリア活性化推進協議会を設置しました。今後、官民連携のプロジェクトチームで検討を進め、地域の強みや特色を活かせるような基本方針の作成を進めます。
また、次世代モビリティとして注目される「空飛ぶクルマ」は、万博会場と周辺を結ぶ移動手段として注目されています。4月に、「HYOGO空飛ぶクルマ研究室」を創設しました。今後、社会実装を後押しするため、若者とSDGs思考で未来を構想する取組に着手するとともに、関係自治体や関連企業とも連携して、実証実験などにも取り組みます。

(兵庫SDGsの推進)
SDGsは、環境や福祉だけではなく、産業や観光、まちづくり、防災・防犯など幅広い分野にわたる世界共通の目標です。本県も国際社会の一員としてSDGsを県政全般に取り入れるため、「兵庫県SDGs推進本部」を設置しました。
今後、兵庫ならではのSDGsの取組により、兵庫のブランド価値を向上させ、地域活力の向上につなげるべく、内閣府のSDGs未来都市への選定を目指すとともに、経済界や大学、市町等の多様な主体と連携するプラットフォームをつくるなど、オール兵庫で取組を推進します。

(2023デスティネーションキャンペーン兵庫プレキャンペーン)
来年夏に開催する「兵庫デスティネーションキャンペーン」に先駆け、7月から9月までプレキャンペーンを開催します。兵庫五国の風土に育まれた「食」と、五国の歴史・文化・伝統・産業に根ざした本物の「体験」が味わえるテロワール旅を提供します。
来年の本キャンペーン、令和7年の大阪・関西万博に向けて、コロナ禍で深刻な影響を受けた兵庫観光を再生し、新たな「ひょうごブランド」の確立へとつなげます。

(全国豊かな海づくり大会開催に向けた取組)
全国豊かな海づくり大会兵庫大会の開催まで半年を切りました。大会を通じて、豊かな海の再生に向けた本県の先導的な取組やひょうご五国の魅力を全国に発信するため、開催機運を一層盛り上げます。
この大会を契機に、豊かな海づくりを幅広い世代の県民、多様な主体による活動へと着実に広げ、県民総参加による運動へと発展させていきます。

(基幹道路ネットワークの整備)
広域的な物流と人の交流を支え、地域発展の基盤となる基幹道路ネットワークの整備を推進します。
山陰近畿自動車道では、今年度より、豊岡北から城崎温泉間において、国による権限代行に向けた調査が実施されます。引き続き国と連携し、早期事業化に向けて取り組みます。播磨臨海地域道路では、都市計画・環境影響評価手続きを進めています。来る6月4日には地元市町等とともに「播磨臨海地域道路整備促進大会」を開催し、地域の期待や熱い思いを国に届けるなど、早期実現に向け取り組みます。
また、大阪湾岸道路西伸部や名神湾岸連絡線、北近畿豊岡自動車道、東播磨道など事業中路線も着実に整備を進めていきます。

(JRローカル路線維持・利用促進に向けた取組)
先日、JR西日本が乗客の少ない路線の収支状況を発表し、県内の4路線6区間が含まれていました。鉄道は、通学や通勤、買い物など地域住民の日常生活だけでなく、観光やレジャーなど交流人口の拡大に欠かせない交通インフラです。
このため、沿線市町やJR西日本、観光事業者等と連携して、「JRローカル線維持・利用促進検討協議会」を設置し、路線毎のワーキングチームにおいて地域の事情に応じた利用促進策などの検討を行い、路線の活性化につなげていきます。

その3は、安全安心社会の構築です。

(人と防災未来センター開設20周年事業の展開)
阪神・淡路大震災の経験と教訓を国内外に発信するとともに、実践的な防災研究や人材育成に取り組んできた人と防災未来センターが開設20周年を迎えました。
今後、記念事業として国際フォーラムや企画展を順次実施するほか、10月に人と防災未来センターをメイン会場に、近畿圏で初となる「防災推進国民大会2022」が開催されます。「忘れない、伝える、活かす、備える」をキーワードに、防災意識の更なる向上を図ります。

(災害への備え)
6月に入り、出水期を迎えました。昨年は、県内で大きな風水害は発生しませんでしたが、頻発・激甚化する豪雨災害に対して気を抜くことなく、対策を着実に進めます。先月28日、神戸市の水道用の千苅せんがりダムを治水にも活用する改良工事が完成し、竣工式を開催しました。
引き続き、国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の予算も活用し、武庫川・市川・円山川等の河川対策、山地部周辺の土砂災害対策、尼崎西宮芦屋港海岸や福良港等の高潮・津波対策を計画的に進めます。

(ヤングケアラー等への支援)
ケアを担う子ども、若者たちが取り残されることのない社会の実現を目指します。「兵庫県ケアラー・ヤングケアラー支援推進方策」に基づき、ヤングケアラー等の早期発見、悩み相談、福祉サービスへのつなぎ等の支援体制づくりを推進します。
本日、支援体制づくりの第一歩として、兵庫県社会福祉士会と連携して専用の相談窓口を開設します。さらに、当事者同士の交流の場をつくるピアサポート活動等を行う民間団体への支援、関係機関の職員に対する研修などを実施します。

(はりま姫路総合医療センターの開設)
姫路循環器病センターと製鉄記念広畑病院を統合再編した、はりま姫路総合医療センターが5月1日に開院しました。
「良質な医療を良質なチームで」をスローガンに、高度専門・急性期医療を提供するとともに、地域医療を担う人材育成の拠点として、播磨姫路圏域が抱える医療課題の解決に向けた役割を果たしていきます。
また、センター内に開設した県立大学の先端医療工学研究所では、センターをはじめとする医療機関や産業界と連携して、医療関連機器やデジタルヘルスなどの研究開発に取り組みます。

最後に、適切な行財政運営です。
令和3年度決算見込みについては、昨日、出納を閉鎖し、現在、集計整理を進めています。一般会計の決算は、企業業績の回復に伴う県税収入の増加や新型コロウイルス対策関連事業の実績減などにより黒字となる見込みです。
しかしながら、新型コロナウイルスの感染動向やウクライナ情勢など、不透明な税収環境となることが見込まれます。県政改革方針に基づき、持続可能な行財政基盤の確立に向けた取組を進めます。
イノベーション型の行財政運営の実現をめざす取組の一環として、本年度より、外部有識者による事業レビューを導入します。各部において、有効性及び効率性の観点などから点検を実施し、外部の視点も活用しながら、事業・施策の改善や申請など手続きの利便性向上を図ります。
今後の県政改革方針や事業の見直しなどにあたっては、県議会や関係団体、県民の皆様へ丁寧な説明を行います。市町に対しても、新たに協議の場を設置し、対話を通じて、合意形成を図っていきます。

これより、提出しました議案について、説明します。

予算案件は、さきほど主な事業を説明した「令和4年度兵庫県一般会計補正予算案(第1号)」です。補正の規模は、一般会計で142億5,200万円です。
財源は、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金をはじめとする国庫支出金等を活用します。

条例案件は、「水難事故等の防止に関する条例の一部を改正する条例」等6件です。
海域等におけるスポーツやレクリエーションに伴う水難事故等を防止し、利用者の安全を確保するため、プレジャーボート操船に係る危険行為の規制範囲を拡大し、罰則を強化するなどの所要の整備を行うものです。

その他案件は、兵庫県立但馬ドーム修繕工事の「契約締結」等4件です。

以上で、提出議案の説明を終わります。議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

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