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更新日:2025年9月18日

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第372回(定例)兵庫県議会 知事提案説明(令和7年9月18日)

本日、第372回兵庫県議会の開会にあたり、県政の推進に日頃からご指導いただいている議員の皆様に敬意と感謝を申し上げます。
提出議案の説明にあわせて、諸般の報告をします。

その1は、安全安心な兵庫づくりです。

(渇水・高温への対応)
今年の夏は、記録ずくめの猛暑となりました。県内の熱中症警戒アラートの発令回数は50回におよび、丹波市では41.2度と一時的に国内の観測史上最高気温を記録しました。また、梅雨明けが異例の早さであったこともあり、但馬や丹波では7月の降水量が平年の1割から2割にとどまるなど、全県的に記録的な少雨となりました。この影響により、複数のダムで貯水率が低下していることから、水道事業者や農業団体、関係市町等と連携し、一部の地域で取水制限を行うなど、水の利用調整等を実施しています。
農業者や農業団体の皆様には、こうした状況下でも、水稲をはじめ農作物の生産に懸命に取り組んでいただいていることに、改めて感謝申し上げます。県としても、少雨や高温による農産物への影響を踏まえ、農業者等が行う応急的な用水確保のための井戸やポンプの設置、カメムシ被害の追加防除の経費を支援します。用水確保については、国制度の対象となる8月に加えて、梅雨明けとなった6月27日以降の取組も県独自に支援を行います。

(特定外来生物の対策)
県内で特定外来生物の分布が急速に拡大しています。クビアカツヤカミキリは、サクラやモモなどの樹木に産卵し、枯死させ、倒木に至る恐れがあり、ナガエツルノゲイトウは、その凄まじい繁殖力・再生力により農業被害や生態系被害等が生じかねません。そこで、全庁横断的に対策を推進するため、8月8日に「兵庫県特定外来生物対策本部」を設置しました。県内各地の生態系、農業等の実情に応じた目標設定や手法を検討する必要があることから、各県民局、県民センターにおいて地域部会を設置し、分布状況を踏まえた地域密着の対策を進めます。

(ツキノワグマの対策)
クマによる被害が、北海道・東北などを中心に全国各地で発生しています。本県では、今年は山中のクマのエサが豊富であり、ツキノワグマの目撃・痕跡件数は例年に比べて少ないものの、今後、冬眠前のクマがエサを求めて人里へ出没する恐れがあるため、警戒が必要です。明日、全庁横断の連絡会議を開き、市町と連携した出没対策や体制整備、住民への注意喚起などにより人身被害の防止に努めます。

(県民緑税の延長)
こうした深刻化する野生動物被害、また激甚化・頻発化する豪雨、常態化する夏季の異常高温等に対応するため、県民緑税の課税期間を5年間延長します。災害に強い森づくりでは、都市近郊における森林整備を強化して防災機能の向上を図るほか、気象害に強く、多様な生物が共生可能な自然環境を形成する中長期的な取組として、多様な樹種や林齢で構成される針広混交林への誘導を進めます。なお、特に緊急性の高い箇所については、第4期追加対策として、9月補正予算で流木対策等を強化します。また、県民まちなみ緑化事業は、昨年度末までの19年間で約227haの緑を創出してきたものの、なお都市の中心部などでは緑地が不足していることから、県民や企業による緑化活動の支援を一層推進します。皆様のご理解とご協力をお願いします。

(創造的復興サミットの開催)
阪神・淡路大震災30年事業の中核的な事業である「創造的復興サミット」を、今月20日に開催します。当日は、被災地の知事・市町村長や、海外の自治体・関係機関の代表などが一堂に会し、復興の経験・教訓を共有するほか、高校生・大学生による活動報告会も実施予定です。これらを受けて、サミットの総括として、創造的復興の理念を「ひょうご宣言」として取りまとめ、広く発信します。

(防犯カメラの設置推進)
先月下旬、神戸市内のマンションで起こった痛ましい事件により、県民の不安が高まっています。犯罪の発生を抑制し、住民の安全を確保する上で、改めて防犯カメラの重要性が認識されました。地域団体への設置補助事業を行う市町に対して追加支援し、地域防犯力の向上を図ります。

(特殊詐欺集中対策本部会議の設置)
特殊詐欺の被害は、過去最悪だった昨年よりもさらに大きく増加している深刻な状況です。全庁を挙げた対策の徹底を図るため、今月8日に「特殊詐欺集中対策本部会議」を開催しました。被害が多発・急増している地域では「特殊詐欺多発警報」を発令し、住民に対する注意喚起や、関係機関・団体が連携した水際対策を強化します。また、外付け自動録音機の配付のほか、SNS等を通じた啓発動画の発信にも力を入れていきます。


その2は、若者が輝く兵庫づくりです。

(県立学校の教育環境の充実)
県立学校の教育環境の充実に向け、令和5年度から6年間で300億円の教育投資に取り組みつつ、令和6年度2月補正で、全県立学校へ生徒用個人ロッカー等の教育用備品の整備、また、今年度6月補正により、県立高校の工業等専門学科の先端教育用備品の整備を進めています。こうした取組により、1校当たりの投資額は全国下位から脱しつつありますが、なお多くの課題があります。例えば、猛暑が常態化し、熱中症リスクが増大する中にあって、特別教室等への空調設備の拡充は不可欠であり、また、教室や廊下の床、天井などの破損も深刻です。先月の総合教育会議では、こうした課題への対応の必要性を共有しました。いわゆる高校無償化が来年度からスタートする中、県立高校の魅力づくりは喫緊の課題です。国に対して公立高校支援の抜本的な拡充を求めつつ、引き続き取組を強化していきます。

(高校生チャレンジ留学の実施)
HYOGO高校生「海外武者修行」応援プロジェクトは、今年度は対象人数を20人に拡充し、実施しています。スリランカの病院で現場の医療課題を調査する高校生、イギリスでラグビーのレフリーとしてのあり方を探求する高校生など、今年も個々の学びを深めるため、海外に向かいました。世界を体感した若者たちが、兵庫に新しい風を吹かせてくれることを期待しています。

(ケアリーバーへの支援)
児童養護施設等で暮らす子どもたちの大学等への進学率は、県平均の半分以下となっています。進路選択の視野を広げる機会を確保するため、受験の心構えや勉強の進め方等を学ぶ大学進学支援セミナーを、6月に続き、2回目を11月に開催します。また、ケアリーバーへの理解があり、働きやすい企業を県が認定するケアリーバー応援企業は、現在4社を認定しており、今後も拡大を図ります。

(不妊治療支援の強化)
本年7月に不妊症等に関する支援推進条例が施行されました。隣接府県まで対象医療機関を拡充した先進医療費等助成事業には、昨年を上回るペースで申請があり、また、仕事との両立を支援する相談窓口にも、意欲的な企業からの相談が寄せられています。県民が安心して不妊治療を受けられる環境づくりを引き続き推進します。

(産後ケア事業の推進)
市町が実施する産後ケア事業の充実を図るため、今年度新たに、市町から契約事務の委任を受けた本県と、実施機関から委任を受けた県医師会及び県助産師会が、集合契約を締結しました。これにより、現在、集合契約に参加している34市町に在住する方は、市町域を跨いで132の機関で産後ケア事業を受けられるようになりました。母子の心身を支え、安心して子育てができる兵庫づくりを一層進めていきます。


その3は、活力がわきあがる兵庫づくりです。

(米国の相互関税措置適用を踏まえた対応)
米国の関税措置は日米間で合意がなされたものの、先行きは不確実性の高い状況が続いています。現在、6月補正予算で講じた対策パッケージのもと各施策を推進しており、なかでも中小企業の海外展開支援に対しては、今後の影響拡大に備えた次の一手を検討する企業等から多くの申請が寄せられています。引き続き、企業のニーズや経営状況等を踏まえ、支援を進めます。

(物価高騰への対応)
先の参議院選挙の争点の一つとなった物価高対策は、その後、国の具体的な動きが見られず、物価高が県民の暮らしに重くのしかかっています。先日もスーパーで県民の方から、何とかして欲しいとの切実な声をいただきました。食料品価格などの高騰に伴い、特に子育て世帯に大きな影響が及んでいることから、ひょうご家計応援キャンペーン「はばタンPay+」第4弾の子育て応援枠を追加販売し、県民生活を下支えします。

(国際フロンティア産業メッセ2025の開催)
今月4日・5日の2日間、西日本最大級の産業総合展示会である「国際フロンティア産業メッセ2025」を開催しました。過去最多の500以上の企業・団体が出展し、ロボット、航空宇宙、水素エネルギーなどの先端技術が披露されるとともに、マッチや線香、播州織といった兵庫の伝統的な産業の魅力を広く発信する機会にもなりました。本県のものづくりのポテンシャルと、未来の産業を切り拓こうとする熱気を強く感じました。

(法人事業税超過課税の延長)
将来を見据えた産業施策に活用してきた法人事業税超過課税は、世界経済の不透明感が増す中にあって、産業構造改革を一層進める上で引き続き活用が必要です。このため、課税期間を5年間延長し、構造改革や新事業展開の促進、DX・イノベーションの推進、人材育成・確保の強化などに重点的に取り組み、ひょうご経済・雇用戦略が掲げる「持続可能な地域経済の確立と雇用の創出・安定」の実現を目指します。皆様のご理解とご協力をお願いします。

(水稲新品種「コ・ノ・ホ・シ」)
今年度から栽培を開始した高温に強く、味の良い本県オリジナルの水稲新品種「コ・ノ・ホ・シ」は、記録的な猛暑の中でも順調に生育し、9月上旬から収穫を始めています。来週には初の出荷式を行い、10月上旬から県内量販店で販売予定です。気候変動への対応や地産地消など、SDGsをキーワードにPRを強化し、認知度向上と生産拡大をめざします。

(2025年大阪・関西万博の取組)
大阪・関西万博も残すところ1か月を切りました。関西パビリオン「兵庫県ゾーン」の来場者は30万人を超え、EXPO TERMINALや楽市楽座でも、来場された方々に五国の魅力に触れていただいています。また、来週24日からは「ひょうごフレンドシップウィーク」として、岡山や香川との広域周遊観光、新潟との環境創造型農業など、他府県と連携した取組を万博会場で発信します。万博の閉幕後は、フィールドパビリオンのあり方など、今回の成果を今後に活かす取組について検討していきます。

(観光誘客の促進)
万博の賑わいの一方で、バスの確保の困難さ等を背景に、県内観光地では温泉地のホテル・旅館の宿泊者数など、一部で伸び悩みが見られます。そこで、冬季の閑散期の観光需要を喚起し、万博後も継続してフィールドパビリオンをはじめとする県内各地への誘客を図るため、五国を巡るバスツアーへの支援や、首都圏・関西圏を対象にした誘客キャンペーンを実施します。

(大韓民国におけるトッププロモーションの実施)
先月、大韓民国のソウル及び慶尚南道を訪問しました。高付加価値層向けの旅行会社等を対象に行った観光セミナーでは、神戸空港を起点とした県内周遊の観光コンテンツをプロモーションし、なかでも温泉やグルメなどと組み合わせたゴルフツーリズムが高い評価を得ました。現地の旅行会社等と連携し、ツアー造成等を強化していきます。また、友好交流先である慶尚南道の知事と交流協議を行い、友好交流をさらに広げる合意書を締結しました。今年は日韓国交正常化60周年の節目の年であり、自治体間の交流を通じて、両国の相互理解と信頼関係構築にも寄与していきます。

(HYOGO STAR PROJECTの開始等)
県内の小学5年生から中学生を対象に、将来のトップアスリートを発掘・育成する「HYOGO STAR PROJECT」が始動しました。先月の選考会では、子どもたちの輝く眼差しに触れ、無限の可能性を感じました。オリンピックなどの国際舞台で活躍できる人材の育成に向けて、兵庫体育・スポーツ科学学会をはじめ、大学やプロスポーツクラブ等と連携し、科学的かつ継続的なサポートを行います。
今月7日、阪神タイガースがプロ野球史上最速でのリーグ優勝を果たしました。震災30年の節目の年に、地域から愛される阪神タイガースが、県民の皆様に元気と笑顔を届けていただいたことを、心から嬉しく思います。本県でのパレードの実施については、警備費用の高騰等を踏まえて慎重に検討してまいりましたが、見送ることといたします。一方で、この輝かしい功績に対して祝意を表すため、兵庫県スポーツ賞特別賞の贈呈を検討します。引き続き、未来のスポーツ人材の育成やスポーツを通じた地域の活性化などに、阪神タイガースとも連携して力を注いでいきます。

(鳴門海峡の渦潮国際シンポジウムの開催)
兵庫、徳島両県が連携して進める「鳴門海峡の渦潮」の世界遺産登録をめざす取組について、9月1日に南あわじ市で国際シンポジウムを開催しました。渦潮を有するノルウェー、スコットランドの研究者のほか、世界遺産に造詣の深い専門家などを招き、「鳴門海峡の渦潮」の魅力や価値を国内外にアピールしました。

(淡路夢舞台の今後のあり方検討)
淡路夢舞台の創造的再生に向け、サウンディング型市場調査に加え、外部有識者の助言や地元関係者の意見を得るための検討会を6月に設置し、検討を進めています。今月10日には、これらの検討を踏まえ、基本的な考え方を盛り込んだ中間報告を公表しました。今後、地元関係者等とさらに議論を深めつつ、県としての最終的な運営方針を取りまとめます。

最後に、県政運営基盤の構築です。

(新庁舎の整備)
先月29日に開催された「議場のあり方検討会議」において、新庁舎整備に係る議会機能のあり方についてのご意見を県議会からいただきました。また、今月8日の「県庁舎のあり方等に関する検討会」では、新庁舎等整備の基本構想素案を提示しました。この中で特に重視したのは、1つには、働き方の変化や建設費の高騰などを踏まえ、ペーパレス化の徹底等を通じた機能的でコンパクトな庁舎整備を目指すこと、2つには、大規模災害時の対応拠点として、高度な災害対応力を発揮できる機能を備えること、3つには、県庁周辺のにぎわいを創出することです。今後、県議会からいただいたご意見も踏まえ、新庁舎全体の概算規模・事業費を精査した上でさらに議論を深め、年内の基本構想策定をめざします。

これより、提出しました議案について、説明します。

予算案件は、「令和7年度兵庫県一般会計補正予算(第1号)」1件です。物価高騰の長期化を踏まえた家計応援キャンペーンの充実や、防犯カメラの集中整備支援、指定避難所の空調整備、渇水・高温を踏まえた農業者支援、万博後の継続した誘客促進に取り組みます。公共事業については、当初予算を上回る国庫補助の内示を得たことから、道路事業をはじめとする社会基盤整備にかかる事業費を増額します。県民緑税第4期中に実施した山地災害危険地区の見直し結果等から、新たに災害リスクの高い箇所が判明したことを踏まえ、充当残を活用し、災害に強い森づくり緊急対策を実施します。
以上、補正予算案の規模は、一般会計で61億37百万円の増額です。財源は、重点支援地方交付金をはじめとする国庫支出金、緊急防災減災事業債など、有利な財源を最大限活用します。

決算案件は、「令和6年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定」等22件です。先に審査に付していた監査委員より審査意見書の提出がありましたので、認定を求めるものです。一般会計は、歳入が2兆3,822億円、歳出が2兆3,684億円で、過去6番目の規模となりました。円安やインバウンド需要の増加に伴う好調な企業業績を背景に、県税収入等が過去最高となったことや歳出不用等により、後年度の精算分を除いた実質収支は58億28百万円の黒字を確保しました。

条例案件は、「兵庫県税条例の一部を改正する条例」等5件です。その他案件は、「青野運動公苑用地等の処分」等17件です。
以上で、提出議案の説明を終わります。議員の皆様におかれましては、よろしくご審議のうえ、適切なご議決をいただきますようお願いします。

お問い合わせ

部署名:総務部秘書広報室広報広聴課

電話:078-362-3016

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