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【発表項目】
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知事:
1番目は「新型コロナウイルス感染症の県内の患者の状況等」です。
本日の新規感染者数は2184人です。
対前週比では632人の減少です。グラフのとおり、かなりピークアウトしている状況です。1週間当たりの平均も、1月12日の8500人がピークでしたが、今回は2297人で、ピークアウトしつつある、第8波の出口も少しずつ見えてきている、と考えています。
病床の使用率等についても、一定の下げが始まっています。
改めて、医療従事者を含めた関係者の皆さんの尽力に改めて敬意を表します。
インフルエンザの定点観測値(報告数(速報値))が、直近の1月23日から1月29日が14.02人で、先週、10を超えたため注意報を出しましたが、今のところは急激な増加は見えないところです。しかし、引き続き、インフルエンザの流行についても注意が必要です。学校現場においても、学級閉鎖や学年閉鎖が増加していると聞いていますので、引き続き、インフルエンザの感染防止対策も、ワクチン接種を含めて、よろしくお願いします。
2番目は「新しい働き方推進プランの策定」です。
兵庫県庁の新しい働き方改革については、10月に若手職員からの提言を受けました。
現在、私も率先して、知事業務のペーパーレス化、リモート化に取り組んでいるところです。
今回、全庁的な働き方の改革に向け、令和6年度までの具体的な取組プランを策定しました。
プランが目指すのは、パフォーマンスを上げ、質の高い行政サービスに繋げていくことです。そのために、多様な働き方、超過勤務の縮減、ICTの活用による業務改革など、5つの施策に取り組んでいきます。
これにより、行政手続きの利便性、これは県民の皆さんにとっての利便性向上、また、職員のモチベーションの向上に繋がると考えています。
テレワークなどで捻出した時間を活用し、職員が育児や介護に時間を充てる、さらには、これからは地域貢献の活動も大事ですので、それに取り組んでもらおう、というものです。
地域においては、過疎地域のみならず、都市部においても、例えば、自治会や消防団の担い手が不足している、という問題があります。そういった際に、公務員は大きな担い手、即戦力になりますから、こういったテレワークなどの働き方改革で浮いた時間、空いた時間を、そういった地域活動での貢献にも活かしてもらう、そういったことにも繋げていきたい、と考えています。
まずはテレワークを大胆に進めていきたい、と考えています。来年度からスポットオフィス勤務制度(仮称)を創設し、一定のセキュリティーを備えた公共施設やコワーキングスペース、こういったところで、職員が働くことを認める制度にトライしたいと考えています。
令和6年度から、職員のパソコンを新しいモバイル端末に更新していくことになりますが、その前の段階で、多様な、出勤しなくても自宅近くの公共スペースや、コワーキングスペースで働くということにトライします。
先日も少し説明しましたが、休暇・休業制度の活用について、多くの人が不妊治療、出産、子育てについて、悩んでいると思います。仕事との両立を推進するために、不妊治療にかかる休暇の日数を、現在、年5日から12日に拡充する、というものです。これは先月からすでに実施しています。
ICTを活用した業務改革の推進について。これは、一番大きいのはペーパーレス化の取組になります。それとともに、電子契約の推進、電子公印の導入、既存の紙資料のデータベース化に、これから取り組んでいきたい。これは令和5年度から早速に取り組みます。
次に、職員の意識改革について。若手の職員の目線からいろいろな働き方改革の提言をもらい、これをさらに推進していくために、若手職員の提言部会を来年度設置したいと考えています。いろいろな目線で、これから子育てをしていく世代、DXも含めて新しい視点を持っている世代が県庁に入ってきていますから、そういった職員が、いろいろな働き方や業務改革への提言をする、というものです。
こういった形で、県庁の働き方改革を大きく進めながら、テレワーク、ペーパーレス化を進め、県庁舎の今後のあり方の議論にも繋げていきたいと考えています。
3番目は「県庁舎執務環境改革アドバイザリー会議の開催」です。
先ほどの項目に関連して、県庁舎執務環境改革アドバイザリー会議を今回、立ち上げることにしました。
新しい働き方推進プランを進めていくわけですが、テレワークやデジタル化、新しい働き方を実現するためには、県庁の執務環境をどのようにしていくべきかの議論、そして、改革もあわせて検討する必要があります。
すでに、県庁内の関係課で構成する、県庁舎の執務環境改革についての庁内ワーキンググループを設置し、議論を進めていますが、専門的なアドバイザーの知見、アドバイスも必要だということで、今回、アドバイザリー会議を設置し、有識者からの意見、助言をもらう形にしました。
具体的なメンバーは、働き方改革の企業、県内でも先進的な取組をしている企業から、株式会社アシックスの人事担当者、経済同友会の佐伯さんは株式会社ユーシステムの代表取締役です。また、株式会社ICBの代表取締役にも参加してもらいます。次に、オフィスデザインのあり方をどうすべきかという観点から、京都工芸繊維大学の仲教授。県からは情報戦略監。さらに、関西学院大学の上村教授にも、行政運営という観点から入ってもらいます。
第1回については、2月9日、これはオンラインでの開催を予定しています。内容、開催概要については、また追ってお知らせします。人事内容など機微にわたるところもあるので、全面公開ができるかどうかは難しいかもしれませんが、冒頭のみ公開や、終わった後のブリーフィングはする方向での調整を指示しています。
テーマとしては、県庁舎の環境執務環境における現状と課題、それから、今後のDX、働き方改革、ペーパーレスを含めてどのようにしていくのか。それにあわせて、人事の面、通勤手当などをどのようにしていくのか、スケジュール感を持って、議論していきます。
具体的には、令和5年度の予算関係にもなりますが、令和5年度にはフリーアドレス、ペーパーレス、ストックレスの試行という取組もしていきたいと思っています。それとあわせて、このアドバイザリー会議からの提言をもらい、県庁内のワーキングチームで議論しながら、今後の県庁のあり方を考えていきます。
4番目は「シンガポールにおけるトッププロモーションの実施」です。
シンガポールに今回、知事就任後初の海外出張として行きます。
2月8日から2月11日の2泊4日の日程で、アジアの成長の中心であるシンガポールに行きたいと思っています。
この3年間は、コロナ禍の影響で海外への出張や海外需要は全体的にストップしていたところですが、海外からの入国条件も緩和され、インバウンドも戻ってきている、そしてコロナも一定の落ち着きを見せているという状況を踏まえ、今回、海外出張します。
なぜシンガポールかというと、アジアの、今、最も成長が早い、そして、スタートアップを含めたビジネスの動きも注目を集めているのがシンガポールですので、そこをターゲットとして、私自身の初の海外出張先に選びました。
内容は3つあり、1つが、2025年の大阪・関西万博を見据え、これからインバウンドも受入再開、拡大をしていくことになりますが、いろいろな富裕層を含めて、多くの人がいるシンガポールで、そこからの日本への誘客、特に兵庫への誘客をトップセールスとして促していきたいと思っています。特に、旅行関係者を集め、その誘客のための発信をしたいと考えています。また、県産品のPRもあわせて行う予定です。
2つ目が、県立フラワーセンター、あわじグリーン館との交流の強化です。昭和55年から、県立フラワーセンターとシンガポールの国立植物園は、提携関係にありました。昨年10月にあわじグリーン館とシンガポールの植物園が覚書を締結していることもあります。このように、昔からの交流関係がありました。稲田純一前館長が、そのシンガポールとの結びつき、交流の強化に尽力をしましたが、昨年12月に急逝されました。稲田前館長が築いてきた絆を、知事としてもしっかりと受け継ぎ、シンガポールとの縁を大切に育てて繋いでいきたいということで、シンガポールの植物園も訪問しようと考えています。
これは万博を見据え、シンガポールからの具体的な誘客促進にも繋げていきたいと考えています。
3つ目がスタートアップです。シンガポールは、いろいろなビジネスの分野でのスタートアップが非常に熱い地域だと聞いており、現地のスタートアップ関係者との意見交換を通じて、県のスタートアップ戦略の参考にしたいのと、また、シンガポールをはじめとするアジア圏からもビジネスをしに、兵庫、神戸に来てもらいたいと発信したい、と思っています。
3日目の午後、現地でプレスカンファレンスの記者会見をオンラインでしますので、そのあたりを調整し、説明したいと思っています。
一般的なこれまでの兵庫県の海外出張は、姉妹提携をしているところが中心でしたが、そこもしっかりと大事にしながら、より、ビジネスであったり、観光であったり、県産品を売り込むなど、そういった実利のある海外出張をしっかりとやっていきます。
現地で、政府や地方自治体のトップクラスの人に会うことだけではなく、生のビジネスをしている人、そういった現場の声、対話と現場主義というものを、海外出張でも取り入れていきたいと考えています。
5番目は「県立社高校の第95回記念選抜高等学校野球大会出場に係る『ふるさとひょうご寄附金』の募集」です。
県立社高校が、先日、第95回記念選抜高等学校野球大会の出場を決めました。
社高校とともに報徳学園も出場を決め、兵庫から2校となりました。報徳は2018年の夏大会以来、社高校は夏に続く出場で、努力と挑戦を重ねてきた両校の皆さん、そして、学校関係者の皆さんに改めてお祝いと敬意を表します。両校が、さらに、夢の舞台で活躍されることを願っています。
夏の甲子園の際にもしましたが、県立社高校へのふるさとひょうご寄附金、いわゆるふるさと納税で応援するためのメニューを設け、募集します。
目標金額は1000万円、部員の交通費、応援団の交通費、応援グッズその他のものに活用したいと思っています。
募集期間は、本日2日から3月31日で、多くの皆さんに寄附の協力をいただきたいので、どうぞよろしくお願いします。
私からは以上です。
記者:
働き方推進プランの、県職員が浮いた時間を活用し地域活動などで活躍してもらいたい、という説明でした。
副業について、通勤時間が浮き、地域で活動する時間が増えた場合に、ボランティア的な活動と、NPOなどの活動をする場合に、あるいは農業を手伝う場合など、交通費や謝礼をもらう活動もあるかと思います。NPOであれば、ある程度お金を回していく活動もあり得ると思いますが、今、県の勤務制度上はどうなっているのか。もし変えるべき点や、今後、そこを推進するためにこうしたい、ということがあれば教えてください。
知事:
指摘のとおり、リモート化や在宅勤務を進めることによって、通勤時間などが効率化・合理化されて、一定の時間が空くことになります。
それを家庭や、子育てなどに使ってもらうことも大事ですが、一方で、地域貢献の活動もがんばりたい。そういった思いを持っている県職員も一定程度いると思いますので、そこは今、制約はあると思いますが、柔軟な制度運用も検討していきたいと思っています。
ボランタリーな分野では、例えば、朝、通勤する時間が浮くのであれば、地域の子どもの通学の見守り活動を手伝うなどありますが、農業を手伝うことや、いろいろなNPO活動など、実費も含めた収入があるケースもあると思います。副業的な位置付けになるのかどうか、ここは確認が必要ですが、決して営利活動でどんどん儲けるという分野では、いずれもないので。一定の社会貢献の分野に携わりやすい環境整備にトライアルしていくことは大事だと思っています。
今後、ワーケーション制度の導入も検討していきたいと思っています。これは自分が住んでいるところ以外の、例えば、都市部に住んでいる人が多自然地域に行ってする場合も。その空いた時間を地域の、例えば、農業であれば、丹波篠山の黒大豆の収穫などを手伝うこともできるかと思います。その場合には、一定の副業条件を検討するなど、いろいろなことをしていきたいと思っています。
記者:
リモートワークについて。大企業レベルの話ですが、今は富士通やNTTなどはコロナ渦でリモートワークを推進し、出勤率を2割程まで下げています。県庁でそういったレベルまでリモートワークを推進することは、いろいろと難しいハードルがあると思います。
コロナ禍では7割程度の出勤率を目指すことを呼び掛けていましたが、知事として、今後どのくらいの出勤率のリモート化を進めていくのか、相場感のようなものはありますか。
知事:
ご指摘のとおり、首都圏を含めた東京の企業は、コロナ渦で進んだと思いますが、出勤率は3割、4割程度になってきています。それによって、オフィスの規模も、賃貸は縮小するようなことが主流になってきていると。コロナがオフになりつつある中でも、このままいこう、という形が主流です。
今回、兵庫県としても、ペーパーレスやテレワークを導入し、そういった流れの中で出勤率は下がっていくと思っています。できれば(出勤率)3割や4割程でも業務が可能かどうかも、前提条件無しに目指したいと思っています。
そのためにも来年度、まずトライアルを少しずつやっていくことが大事です。いきなりみんなヨーイドンでしても、混乱するだけなので。来年度、課単位なのか部単位なのか、それぞれの部署ごとにローテーションで、テレワークやフリーアドレスなどを試していくことを、順繰りにしていきたいと思っています。
いわゆるモデルオフィスというものを、ハード整備も含めてやりたいと考えています。そこで、それぞれの企画部や財務部や、県民生活、観光、土木などがする中で、ここはできる、ここは現場がすごく絡んでいるからできない、危機管理の観点からここは残しておくべき、というものがかなり見えてくるかと思います。
その中で、仕事の面の仕分けもですが、職員がそれをする場合に出てくるいろいろな通勤手当の問題や、実際の課題を洗い出すことを、来年度していきたいと思っています。
記者:
人口移動の件で。先月30日に総務省が発表した人口流出の都道府県ごとのデータで、兵庫県は2022年に5625人の流出となり、関西で一番数が多かったのですが、これに対する受け止めと、知事なりに原因をどのように考えていますか。
知事:
先日、令和4年の外国人を含めた転入・転出のデータが住基台帳をベースに出ましたが、兵庫県は5625人の転出超過で、全国ワースト5となりました。
転出者の数が転入者の数を上回っています。自然減も増えていますが、社会減、兵庫県から外に出て行く人が増えています。
特に地域別で見ると、東京圏への転出超過が増加しています。コロナ渦で控えていた東京都との往来がまた活発になっていることも(原因として)あるのかと思っています。
また、20代の転出超過も増加しているので、就職を機に東京や大阪に行くことも増えているという形です。
一方で、子育て世代である30代や40代と、その子どもである、0歳から14歳については、昨年に引き続き転入超過となっており、世代ごとに少し色が違っています。
今年度、地域創生戦略の中間見直しも行いましたが、やはり人口減少対策をしっかりと進めていくことが大事です。特に、若い世代、大学卒業時に7割程は県に残りたいが、実際には3割程しか残っていないという、この4割のギャップがあるので、これをどのようにこれから埋めていくのかが中長期的な課題になります。
もちろん、子育てをしやすい環境整備を国と一緒に進めるとともに、我々としては仕事の場として、スタートアップや企業の誘致、それから、今ある、ものづくりを含めた地場産業の活性化を応援することによって、雇用の機会を増やしていく。やはり働くところが無ければ住むことにはなりにくい面もあるので、そこをしっかりと進めていくことが、まず一つ大事だと思っています。
あとは、教育の充実です。特に県の場合は、高等教育の充実を、県立高校を含めてしっかりとしていきながら、人口流出対策をしていきたいと思っています。
これは、総合的な施策の取組になりますので、何か一つのことをしたから抜本的に改善する、というものではないので、そこは地道にやっていきたいと思っています。
特に兵庫県は、540万人という大きな人口の県なので、一定の人口の中で、どうしても、外に出る、流出の規模が大きくなるのはやむを得ない面もあると思いますが。それでもできる限り、兵庫県に残ってもらう、一度出た人も戻ってこられるような環境整備を、しっかりとやっていきたいと思っています。
記者:
就職を機に県外へ出る人が期待に反して多いことに対する、何か具体策があれば教えてください。
知事:
県内に若い世代が就職し、定着をしてもらうことがすごく大事です。これまでも県内大学の学生向けの就職マッチングセミナーやインターンなどを経済界とともに連携しながら実施していますので、そこは引き続きしっかりとやっていきたいと思います。
それ以外にもいろいろな手立てを、令和5年度の予算の中でも検討していくことが大事だと思っています。
あとはSDGsを推進する企業や、ミモザ企業という女性が働きやすい企業を支援したり、増やしていく取組など、個別の企業の経営を改革していく、いろいろな人が働きやすい企業経営に変えていくことが大事だと思います。
県庁の働き方改革、DXやリモート、ワークライフバランスを充実させることも、県が率先することによって、民間企業も必ず一緒になってやってくれるので、そういった地道な取組をしていくことが、より多くの若い世代が兵庫で働くことを選ぶことに繋がっていくと思っています。
住む環境としては、神戸も兵庫もすばらしいので、あとは雇用などの働きやすさ、教育面も含めて、質の高いものを提供することが、すごく大事だと思っています。
記者:
高等教育の充実というのは、高校から大学、大学院に上がる際に県外に出ないようにする、ということですか。
知事:
県立高校です。ここの環境整備を今後、6年間の予算で300億円程投入しますが、県立高校の教育の質も含めて、魅力をしっかりと高めていくことが大事です。
県立高校の環境整備や国際教育も含めた教育の質を高めていくことで、より多くの保護者や、子どもたち本人も、県の高校で学び、育つことを選ぶと思います。
かつ、そこをしっかりと応援していることが、シビックプライドという形で、兵庫県に残って働き、住み続けたいという気持ちにも繋がってくると考えています。
それを来年度の予算から具体的に進めていきたい、という思いがあります。
記者:
ふるさとひょうご寄附金について。去年も目標額は1000万円でしたが、実際にはどのくらい集まったのですか。
知事:
去年の実績が217万5000円です。1000万円には届いていないのですが、支援として十分に助かった、という声もあります。
1000万円を掲げていますが、200万円程の実績を踏まえて、ぜひ応援してもらえれば、ありがたいと思います。
記者:
アドバイザリー会議について、前提として県庁再整備のあり方を考える上での会議、という考え方でよいですか。
新しい県庁をどうすべきかを考える上での助言をもらう、ということですか。
知事:
そこにも繋がるということです。
働き方自体をDXやリモート、ペーパーレスというものを導入していくことは、大きな方向として、県庁の再整備がある、なしにかかわらず、これは進めていかなければならないテーマだと思いますので、そこをきっちりとやっていきます。
その流れの中で、県庁のあり方をどうするかということにも繋がっていくと考えています。
記者:
県庁のあり方を考えるのにどう繋げたいのか。かねてより、これまでに議論した再整備の計画では、事業費などがすごくかさむことを懸念していたかと思います。そのあたりをなんとか改善することに繋げたい、という思いがあるのでしょうか。
知事:
元々の計画では700億円で、他の自治体での庁舎の整備や、病院の建て替えの話になった場合に、もう倍近くになっています。もしも進めていれば、前も言いましたが、1000億円を越えていた、1400億円ぐらいになっていた、というリスク、可能性があります。
そうすると県の財政がかなり厳しくなっていたと思います。いろいろなものが、逆に道路整備などができない形になっていたので、そこは一旦止めたということは、やむを得ないと思っています。
ではどうするのか、今後はペーパーレス、ストックレス、それからテレワークを大胆に導入することで、県庁の将来の規模感も含めたあり方について、どこが最適かを、アドバイザリー会議、それから、県庁の中でもワーキンググループで議論しています。また令和5年度にモデルオフィス的にトライアルしますので、それをしながら、最適な規模感を探っていきたいと思っています。
記者:
1月1日の県内の推計人口が540万人を割り込んで、539万人台となりました。この水準はさかのぼると27年前の1996年の水準になります。
これは人口減少がずっと続く中での一つの節目ともいえると思いますが、知事の受け止めをお願いします。
知事:
1月1日現在の推計人口が539万7000人となって、540万人を割ったところです。
ピークが平成21年、つまり2009年の560万人が兵庫県の推計人口のピークだったので、そこから減少傾向が続いています。
人口減少にはいろいろな要因がありますが、出生数より死亡者数の方が上回るという自然減少の構造的な問題が影響としてあり、特に直近では、コロナ禍で婚姻数や出生数が減少しているという状況もあると思います。
先ほどの質問等でもありましたが、20代若者を中心とした、就職などを契機に、県外に出て行くということで、社会減の対応も重要だと考えています。
自然増減の対応については、今、国が少子化対策を、本腰を入れて検討していこうという議論になっています。
これまでいろいろと市町村でも進めてきましたが、財政力に応じていろいろなことが出来る自治体と、出来ない自治体がある。例えば、乳幼児医療費の助成などでは自治体によって差が出てきているということだったので、これはやはり日本全体の少子化対策、特に自然減対策ということを考えたときには、国がしっかりとオールジャパンで、国家戦略として財源も含めてどうするべきか、ということをしっかりとしていく方向だと思います。
一方で社会減については、これはある地域からある地域に人口が移動するということです。ここは県の施策としてどのように進めていくのかが大事で、特に先ほど述べた雇用、それから教育の質を高めることを、しっかりとやっていくことが大事だと思っています。
そういった意味で、企業立地条例の改正もこれからしていきますが、次世代産業、水素をはじめとする次世代を担う産業の誘致、雇用の場づくりをしっかりと進めていくことも大事だということです。
市街化調整区域の規制緩和などでも、兵庫県内にいろいろな投資を促していく。こうした取組によって、企業、さらには働く場を増やしていくことが大事だ、と思います。
住む環境については、やはり兵庫県は住みやすい環境であるということはもちろんで、住宅をもっと提供すれば、という議論もあり、そういったところも一つのポイントだとは思いますが。やはり働く場、雇用の場というものをしっかりと増やしていくことが大事なポイントだ、と思っています。
記者:
540万人という水準を割り込んでしまうのも、知事としては、人口減少が全国的に進む中で想定内というのか、致し方ないという受け止めですか。
知事:
日本全体の人口減少が進んできている中で、兵庫県も人口減少の流れが数字として出てきていると思います。ただ、これを単に受け止めるというよりも、ここをどのように、できるだけ食い止めていくことを目指していきたい、と思っています。
記者:
シンガポール出張について。
旅行関係者に集まってもらい県産品をPRするということですが、どういったものをPRするのか。また、スタートアップ関係者との意見交換では、どのようなテーマで意見交換するのか、その2点を伺います。
知事:
プロモーションですが、大きなところでいうと、県産の食材のプロモーションです。兵庫県が誇る魅力の一つに食がありますから、そこをしっかりとプロモーションしていきたいと思っています。
具体的には、兵庫といえば、日本酒、神戸ビーフ、香住のカニ、ノリなど県産の食材を紹介することを通じて、兵庫県のおいしい食を発信することをやりたいと。また、兵庫県の地場産品、豊岡のかばんといったアップサイクルなSDGsの商品も発信していきたいと思っています。
それから、スタートアップの関係については、シンガポールはアジア有数のスタートアップの集積地ですから、実際、シンガポールでやっている人との意見交換を行います。
これは、現地の人も、日本から行っている人もいると思いますので、そういった生の声を聞き、何がスタートアップを盛り上げていくためのキーなのか、現場の声をきちんと聞いてきたい、と思っています。
それを持ち帰って施策に繋げることによって、働く場、雇用の場、チャレンジができる環境をつくることで、兵庫県に若い世代が集まってくるような、そんな施策にも繋げていきたいと思っています。
記者:
シンガポールについて。今回、現地の要人に会う予定はありますか。要人に会うこと、トップ同士が会うことで、円滑に物事が進む側面もあると思いますが、そういった点では、今回の出張で要人と会う、会わないは、知事としてはどのように考えていますか。
知事:
今回、初めて兵庫県として、知事が行くことになります。それは、テーマに沿って、私は行きたいと考えています。アジアの中で、すごく成長している地域がシンガポールですのでそこを選びました。
行った際には、在シンガポールの日本国大使には会います。指摘のとおり、それ以外に政府要人や、自治体のトップに会うことは予定していません。トップ同士の繋がりを作ることも大事ですが、やはり生の現場の状況や、実際にビジネスに携わっている人の声や意見を聞くこと、そして自分の目で確かめることを中心にします。
私は「対話と現場主義」で、これまでも取り組んできましたが、現場を中心に、いろいろなものを見ることを今回は焦点にしています。もちろんそれ以外の、西オーストラリア州やいろいろな友好関係がある地域に行く場合には、現地のトップの人に会いますが、今回のシンガポールについては、そういったことをあえてしなくても、現場をしっかりと見て、自分で施策のヒントを掴んでくる、実戦的なところをしていきます。あとはプロモーションをします。
記者:
アドバイザリー会議について。今、知事の説明と、先の質問を聞いていましたが、正直、私はこの会議に意義をあまり見いだせていないので、詳しく教えてもらいたいです。
まずスケジュールは、いつぐらいまでに何回ほど開催して、どういったことを最終的な結論として見いだそうとしていますか。
知事:
令和4年度中に第1回を立ち上げて、令和5年度に数回する予定です。その間に、あわせて庁内でのワーキンググループも立ち上げて、テレワークや働き方改革についての実務的な議論をしていきます。
あわせて、いろいろなモデルオフィスやトライアルをして、令和5年度中にしていく場合の課題の整理、それから解決策の中間報告を来年度中にします。
それに基づいて、実務的に、実際に導入していく場合の対応を、令和6年度にかけてしっかりと詰めて、仕上げます。
記者:
モデルオフィスなど、いろいろな実戦的なことをしていくと思いますが、それぞれの有識者からどういった助言を得ようとしているのかが分かりません。
この2年間でここにいる全員が、コロナ禍で新しい働き方というものをかなり意識していて、今回、プランにも出ているように、テレワークや、ペーパーレス化はしていかなければならないことは、分かっていると思います。
その上で、今回有識者に選んだ人々から何の助言を得て、何を県庁舎の整備に繋げていこうとしているのか、狙いを教えてください。
知事:
両方、必要です。県庁の中の人事担当、組織担当、庁舎の管理をこれまでしてきた中の人達での議論も、ワーキンググループでしっかりと議論していきます。
一方で、DXや、テレワークなど、いろいろな人事システムを変えていくことは、県庁自身もしたことがない面や、新たな領域に進んでいく面があります。それは、民間企業などで、こういった先進的な取組をしている人の事例や意見、情報システムなど、上村先生は行革の関係があるので、そういった観点から、多角的にアドバイスをもらうことは不可欠だと考えています。
自治体自体が、地方公共団体や政府もそうですが、DXなどそういったものがこれからの分野になりますので、多くのところが、紙で仕事をしたり、実際に出勤して仕事をするというのが主になっています。
そこを新しい分野に新しい一歩を踏み出していくことは、未知の領域なので、それはいろいろ民間の人々からのアドバイスをもらうことがなければ、なかなか進まない面もあります。我々がしようとしているところが、それよりもこっちの方がよい、などのアドバイスをもらうことは不可欠だと考えています。
そういった意味でも、県庁でワーキンググループをしつつ、外からのアドバイスをそれぞれの分野でもらうことは、両輪として必要だと考えており、それが意義です。
記者:
説明の中で、例えば、アドバイスをもらうことは、外の人から見て、県庁の働き方を評価してもらうのであれば、意義深いのかもしれませんが、例えば、先進的な取組が正直よく分からないのです。
つまりテレワークや、ある程度の技術は、もう頭打ちしていて、正直ウルトラCみたいなものが出てくるとは、あまり考えにくい、と私は考えています。その中でその民間の取組を、アドバイスしてもらうことが、どれくらい県庁の役に立つのかと言われると、出し切っているのではないかと思います。
実際のところ、アドバイザリー会議という会議体を立ち上げてまで、するほどの話なのかというのが、よく分かりません。
現場主義を掲げているので、職員が現場を見に行って、そこで聞き、その取組を導入することでよいのではないか、と私は思いますが、そのあたりは実際にどう考えていますか。
知事:
すごい解決策をいきなり提示してもらう段階でもないので、県がしようとしていることの方向性が、きちんと合っているのか、それよりもこういう仕方をしたほうがよいです、とアドバイスをもらうことは、すごく大事です。
それを県の職員だけではなく、外部の視点でもらうことが、働き方のアドバイザリー会議だけではなく、あらゆる行政分野で、いろいろな新しいプランニングをする際には、有識者会議を立ち上げることが多いのです。観光などいろいろな面でも。
これまでにしてきたことが出し尽くされているので、有識者会議を立ち上げる必要はないかというと、やはりそこは立ち上げて、有識者から、観光や産業政策など、いろいろな分野のアドバイスをもらい、気づかない点を指摘してもらうことを、政策に繋げていくことが大事です。
いろいろな有識者会議に出ていますが、これは絶対に、その都度思うことは、行政が気づかない点や、ここを拾うべきと言ってもらうことが、有識者会議の意義です。出るたびに気づかされるので、今回の県庁舎執務環境の改革を進めるにあたっても、やはりそこは、もう出し尽くしているから、職員だけでしてよいのかというと、決してそうではありません。
やはり、アシックスの人事担当者や、いろいろなデザインの人など。いろいろな人にアドバイスをもらいながら、きっちりと進めていくためにはどうするのか、何がよいのかアドバイスをもらうことは必要だ、と私は考えています。そういったことがなければなりません。
記者:
その上で、逆に後ろ向きな議論になってしまいますが、例えば、先ほど言われたスポットオフィス勤務制度について。
時計の針が元に戻るとは思わないのですが、私も現場で取材をしていると、コロナ禍では在宅勤務やテレワークを進めてきましたが、IT企業でさえ、現実にコロナが落ち着いてきた中で、やはりオフィスに原則出勤して仕事をした方がやりやすいとの話もあり、揺り戻しの動きも感じています。
テレワークはツールとしてあるのはよい、できるのはよいが、それは結果的に望ましいとも限らず、県庁も、窓口や必要なところに人がいるなど、従来の働き方がよいのではないか、という結論もあるかと思います。
今回のアドバイザリー会議が、必ずしも前向きな話だけではなくて、最適な働き方の意味で、これまでどおりの働き方に戻る結論も、知事としては想定していますか。
知事:
これまでどおりの働き方でよいのではないか、という結論は求めていません。
これからの時代、コロナが終わって、揺り戻しがあるとの議論もありますが、やはり多様な働き方、子育てや介護、それから、地域とのより密な貢献を考えると、多様な働き方をする、できるような環境にしていくことが、すごく大事なことです。
今回のアドバイザリー会議での議論も、変えていく方向での議論になっていくと、私は、そうしてもらいたい、と思っています。
記者:
アドバイザリー会議は、金額としてはいくらぐらいを計上して、何回ぐらい実施しますか。
知事:
アドバイザリー会議自体の予算は、のちほど回答します。
(注:会見後に、R5県庁舎執務環境改革アドバイザリー会議の開催に要する経費25万1千円と回答しました。)
回数自体は、今年度、まずは2月9日に第1回をして、来年度に2回か3回ほど予定しています。
記者:
3回程度実施するということですか。
知事:
はい。
記者:
働き方改革について、知事はSDGsを掲げており、SDGsハブを立ち上げ、発足式を取材しました。いわゆるD&I、ダイバーシティ&インクルージョンが、働き方改革の収穫だと、国際的にはそのように捉えていると思います。
それをどう進めるのかが、むしろ一番大切ではないかという視点も成り立ち得ます。つまり、県庁の箱の大きさをどうするのかということよりも、今回のアドバイザリー会議の面々に、そういったジェンダーやD&Iなど、そういった視点で議論ができる人も入っているのでしょうか。
知事:
この働き方改革の先進企業の皆さんも、佐伯さんとも話をする機会が多いのですが、それぞれ企業の規模は違えども、子育てをしながら仕事をしやすいいろいろな環境づくりや、工夫をしながら、自身もやってきた経営者であったり。
アシックスも大きな企業ですが、人事担当者は、多様な働き方ができるようにしておかなければ、今まさにこの人材確保が、県庁もそうですが、県内企業で人材確保がすごく難しいテーマだ、といろいろな機会ですごく言われます。
人材確保には、もちろんサラリーの面もあると思いますが、それ以外にも働きやすい環境や、働くモチベーションを保ちやすい環境であるのかなど、そういったものが大事になってくるので。今回入ってもらっている構成員からも十分にアドバイスなり提言、助言をしてもらえると思っています。
記者:
職場風土を変えるのは一筋縄ではいかず、顔を合わせて話すのが一番進みやすい、ということが今までの企業の組織のあり方だったので、なかなかそこから脱するのは、非常に大きなチャレンジングな話だと思います。
一方で、そういう点で外資系の企業は進んでいると感じています。神戸は特に外資系の企業もかなり集積していますが、こういったところと情報交換なり、どういう働き方をしているのかを、例えば、職員の派遣などの形で進めていく可能性はありますか。
知事:
もちろん、あると思います。
アドバイザリー会議の構成メンバーからのアドバイスをもらうことが中心ですが、個別名にはなりますけれど、神戸にはP&Gや、イーライリリーなどの外資系企業も多数ありますので、企業がどのような働き方の改革、D&Iをしているのかを、もちろん、参考にすることは大事だと思っています。
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