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更新日:2021年3月24日

意見書 第70号

がん治療としての粒子線治療の公的医療保険の対象部位の拡大を求める意見書

 高齢化とともにがん患者は増加の一途をたどっている。国立がん研究センター2017年データによると、生涯でがんに罹患する確率は男性65.5%、女性50.2%であり、約2人に1人はがんになる時代となっている。がん対策基本法は、こうした状況に歯止めをかけ、がん対策を総合的かつ計画的に推進することを目的に制定され、基本理念として、がん患者の立場に立ったがん対策の必要性がうたわれている。

 がんの治療は、手術でがんを取り除く外科療法、抗がん剤等を用いる薬物療法、放射線を照射する放射線療法の3本柱があるが、放射線療法のうち近年特に注目を浴びているのが粒子線治療である。これは、X線やガンマ線を使った従来の放射線治療とは全く違った性質のもので、狙った病巣に集中して照射できることから、正常な細胞に与えるダメージが小さく、基本的に合併症が少なく時間が経ってからの副作用も少ないのが特徴である。

 兵庫県ではこのような粒子線治療への社会的、時代的要請を受け、2001年にたつの市に粒子線医療センターを設立し、2017年にはその附属機関として神戸陽子線センターを設立した。特に神戸陽子線センターは隣接するこども病院と連携し、小児がん専用の治療室を設けて小児がんの治療にも当たっている。

 一方で、粒子線治療に要する費用は高額で、2016年に小児がん、骨軟部腫瘍、2018年に前立腺がん、一部の頭頸部がんに対する公的医療保険制度の適用が始まったが、その他の部位のがんでは、患者の経済的負担は重く、粒子線治療が有効である悪性腫瘍でも、治療を受けることができない患者も多く存在する。

 よって、国におかれては、がん治療としての粒子線治療の公的医療保険の対象部位の一層の拡大を図り、粒子線治療の普及に取り組まれるよう強く要望する。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和3年3月24日

衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
内閣官房長官
総務大臣            様
財務大臣
厚生労働大臣
全世代型社会保障改革担当大臣

兵庫県議会議長 原 テツアキ

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 調査課

電話:078-362-9404

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