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更新日:2023年5月15日

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国際社会における人権擁護

「すべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励すること」は、国際連合(国連)の重目的目的の一つであり、国連では、様々な枠組みを設けて、人権の保障に取り組んできました。冷戦が終結し、グローバル化が進む現在、改めて、人権の尊重が平和の基盤であるということが、世界の共通認識となっており、国際社会全体で人権問題に取り組もうとする機運が高まってきています。

国際連合

昭和20年(1945年)に発足した国連は、約70年の歳月を経て、世界の190か国以上が加盟する大きな国際機関となりました。
国連には、人権の擁護・促進のための様々な機関が設置されており、国際社会における人権保障の枠組みの中で大きな役割を担っています。
国連を作ろうという考えは、第二次世界大戦の惨禍の中で生まれました。そして、昭和20年(1945年)10月24日に51か国の加盟国により、「国際の平和及び安全を維持…人種、性、言語又は宗教による差別なくすべての者のために人権及び基本的自由を尊重するように助長奨励する」(国連憲章第1条)こと等を目的として国連が発足し、令和3年(2021年)3月現在では193か国が国連に加盟しています。
国連には、経済、社会、文化等の特定の分野で活動する様々な機関がありますが、人権の分野においても、人権関係条約等が定める人権の保障を確保するための機関が設置されています。
平成18年(2006年)3月には、国連が世界の人権問題により効果的に対処するために、経済社会理事会の下部組織であったそれまでの人権委員会に代わって、人権理事会が設立されました。これに伴い、全国連加盟国の人権状況を普遍的に審査する枠組みとして、「UPR(普遍的・定期的レビュー)」が制度化されました。

世界人権宣言

世界人権宣言は、基本的人権尊重の原則を定めたものであり、初めて人権保障の目標ないし基準を国際的にうたった画期的なものです。これにより、世界の人権を守る動きは大きく進んでいます。
20世紀には、世界を巻き込んだ戦争が二度も起こり、特に第二次世界大戦中においては、特定の人種の迫害、大量虐殺等、人権の侵害や抑圧が横行しました。かつては、人権問題はそれぞれの国の国内問題と考えられていましたが、このような経験から、人権問題は国際社会全体に関わる問題であり、人権の保障が世界平和の基礎であるという考え方が主流になってきました。
そこで、昭和23年(1948年)12月10日、国連第3回総会において、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」として、「世界人権宣言」が採択されました。世界人権宣言は、すべての人々が持っている市民的、政治的、経済的、文化的分野にわたる多くの権利を内容とし、前文と30の条文から成っています。
国連は、世界人権宣言が採択されたのを記念し、昭和25年(1950年)12月4日の第5回総会において、12月10日を「 人権デー( Human Rights Day)」と定め、加盟国等に人権の発展を更に推進するよう呼び掛けています。
法務省の人権擁護機関では、世界人権宣言が採択された翌年の昭和24年(1949年)から毎年、12月10日を最終日とする1週間(12月4日から同月10日)を「人権週間」と定め、全国的に人権啓発活動を展開し、広く国民に人権尊重思想の普及高揚を呼び掛けています。

主要な人権関係条約

世界人権宣言で規定された権利に法的な拘束力を持たせるため、ニつの国際人権規約が採択され、その後も個別の人権保障のための条約として様々な条約が採択されています。これらの条約が保障する権利の内容を周知し、理解を深めていくことが一人一人の人権を守ることにつながります。
世界人権宣言が採択された後、この宣言で規定された権利に法的な拘束力を持たせるため、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」と「市民的及び政治的権利に関する国際規約」の二つの国際人権規約が起草され、昭和41年(1966年)の国連総会において全会一致で採択されました。
この二つの国際人権規約は、最も基本的かつ包括的な条約として人権保障のための国際的基準となっています。
これに加え、人権に関連する諸条約としては、人種差別撤廃条約、女子差別撤廃条約、拷問等禁止条約、児童の権利条約、強制失踪条約、障害者権利条約等があります。また、地域的な人権条約としては、欧州人権条約、米州人権条約、アフリカ人権憲章等があります。
近年、人権擁護のための世界の取組は盛んになっており、我が国も、国際的に重要な役割を果たすことが期待されています。

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(A規約)

A規約は、労働の権利、社会保障についての権利、教育及び文化活動に関する権利等のいわゆる社会権を主として規定したものです。
社会権とは、人権の保障を名実共に充実したものとするためには、国家が個人の生活の保障に一定程度の責任を果たすべきであるという認識に立って、国の施策により個人に認められている権利です。
我が国は、昭和54年(1979年)6月に、この規約を批准しました。

市民的及び政治的権利に関する国際規約(B規約)

B規約は、人は生まれながらにして自由であるという基本的考えの下、個人の生活を公権力の干渉や妨害から保護するという観点に立った権利、つまり自由権的権利を中心に規定しています。
具体的には、表現の自由、移動の自由、身体の自由、宗教の自由、集会・結社の自由に加え、参政権が規定されています。締約国は、全ての個人に対して、いかなる差別もなしにこれらの権利が尊重され、確保されることを義務として負っています。
我が国は、昭和54年(1979年)6月に、A規約と共にこの規約を批准しました。

あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)

人種、民族に対する差別は依然として存在し、このような差別を撤廃するためには、各国に対し、差別を撤廃するための具体的な措置の履行を義務付ける国際文書を作成することが必要とされ、昭和40年(1965年)の国連総会において、この条約が採択されました。
人種差別撤廃条約は、締約国が人権及び基本的自由の十分かつ平等な享有を確保するため、あらゆる人種間の理解を促進する政策を全ての適当な方法により遅滞なく実施すること等を内容としています。
我が国は、平成7年(1995年)12月に、この条約に加入しました。

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女子差別撤廃条約)

全ての人間は、そもそも生まれながらに自由かつ平等であることから、男女も個人として等しく尊重されるべきであるとの基本的理念を実現するため、昭和54年(1979年)の国連総会において、この条約が採択されました。
女性であるとの理由のみによって生き方を制約されることなく、個人として男性と平等な権利・機会・責任を享受できる、完全な男女平等を実現することを目的として、遅滞なく措置をとることが、締約国には求められています。
我が国は、昭和60年(1985年)6月に、この条約を批准しました。

拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(拷問等禁止条約)

拷問の禁止については、世界人権宣言及びB規約等において既に規定されていました。しかし、1970年代に、一部の国の軍事独裁政権による拷問と見られる行為に対し国際的な非難が高まったことを背景に、拷問を実効的に禁止する新たな国際文書を作成する必要性が強く認識されるようになり、昭和59年(1984年)の国連総会において、この条約が採択されました。
本条約は「拷問」を公務員等が情報収集等のために身体的、精神的な重い苦痛を故意に与える行為と定義し、各締約国が拷問を刑法上の犯罪とするとともに、そのような犯罪人の引渡し等について規定しています。
我が国は、平成11年(1999年)6月に、この条約に加入しました。

児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)

世界には、貧しさや飢え、戦争等で苦しんでいる子どもたちがたくさんいます。そのような現実を踏まえ、子どもの人権や自由を尊重し、子どもに対する保護と援助を進めることを目指して、平成元年(1989年)の国連総会においてこの条約が採択されました。
この条約は、18歳未満の全ての人の基本的人権の尊重を促進することを目的としています。
我が国は、平成6年(1994年)4月に、この条約を批准しました。

強制失踪からのすべての者の保護に関する国際条約(強制失踪条約)

拉致を含む強制失踪が犯罪として処罰されるべきものであることを国際社会において確認するとともに、将来にわたって同様の犯罪が繰り返されることを抑止する意義を持つこの条約は、平成18年(2006年)に国連総会で採択されました。拉致を含む強制失踪を犯罪として定め、その処罰の枠組みの確保及び予防に向け締約国がとるべき措置等について規定するものです。
我が国は、平成21年(2009年)7月に、この条約を批准しました。

障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)

依然として障害のある人が人権侵害に直面している状況を改善するため、法的拘束力を有する新たな文書を作成する必要性が強く認識されるようになり、平成18年(2006年)の国連総会においてこの条約が採択されました。
この条約は、障害のある人の人権・基本的自由の享有の確保等を目的とし、障害に基づくあらゆる差別の禁止や、障害のある人の社会への参加・包容の促進、条約実施の監視枠組みの設置等の、障害のある人の権利実現のために締約国がとるべき措置等について規定しています。
我が国は、平成26年(2014年)1月に、この条約を批准しました。

持続可能な開発目標(SDGs)

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の目標です。
2015年の国連サミットにおいて全ての加盟国が合意した「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられました。2030年を達成年限とし、17のゴールと169のターゲットから構成されています。
17のゴールは、1.貧困や飢餓、教育など未だに解決を見ない社会面の開発アジェンダ、2.エネルギーや資源の有効活用、働き方の改善、不平等の解消などすべての国が持続可能な形で経済成長を目指す経済アジェンダ、3.地球環境や気候変動など地球規模で取り組むべき環境アジェンダといった世界が直面する課題を網羅的に示しています。
SDGsは、これら社会、経済、環境の3側面から捉えることのできる17のゴールを、統合的に解決しながら持続可能なよりよい未来を築くことを目標としています。人権分野は、17のゴールの多くに関連しています。

エス・ディー・ジーズ

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