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更新日:2021年5月17日

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松林を松くい虫から守ろう

松は、松竹梅と言われるように、古くから我々日本人に最も愛され親しまれてきた樹木です。今日でも、松林は風害や潮害、あるいは土砂崩れなどの山地災害から住まいや農地を守り、また美しい景観を保持し、建築用の木材等を供給するなど、私たちの日々の暮らしの中で身近で重要な役割を果たしています。
兵庫県でも、慶野松原(南あわじ市)や浜坂県民サンビーチ(新温泉町)などの海岸の松林、丹波から西播磨にかけての松茸山、有馬温泉周辺や但馬海岸の美しい景観を保つ松林など、全県に重要な松林が分布しています。
こうした大切な松林ですが、全国的に被害が広がり、昭和54年度にはピークに達した後、現在も被害が継続しています。県では市町と協力し、この松くい虫被害に対してさまざまな対策を講じ、松林の保全に努めています。

1.松くい虫被害の推移

松くい虫の被害量はピークとなった昭和54年度(121千m2)以降減少傾向となっています。兵庫県内の被害量は、平成15~25年までは10千m2前後で推移した後、平成26度以降、さらに減少が進み、平成28年度の被害量は3.7千m2、ピーク時の約3%にまで減少しました。しかしながら、今後夏の高温少雨など気象条件の影響による被害のぶり返しも考えられるため、防除区域における重点的な対策を継続して実施していきます。くい虫による被害は、昭和54年度に県全体の被害量が12万1千立方メートルに達しましたが、さまざまな対策を講じた結果、近年は1万立方メートル以下にまでおさまりつつあります。しかしながら、被害が再燃する可能性もあって、予断を許さない状況です。

松くい虫による被害量の年度ごとの推移は、関連資料の「松枯れ被害量の推移」をご覧ください。

2.松枯れの原因とメカニズム

マツノマダラカミキリ

松枯れの原因は、マツノマダラカミキリとそれに運ばれるマツノザイセンチュウで、マツノマダラカミキリとマツノザイセンチュウは共同してマツを枯らします。

松枯れが起こるメカニズムについては、関連資料の「松枯れのメカニズム」をご覧ください。

3.松くい虫被害対策の概要

保安林など公益的機能の高い松林等を防除区域(保全する松林)に定めて、予防対策、駆除対策を実施しています。また、防除区域周辺の松林で松くい虫被害の影響が防除区域に及ぶ松林は周辺区域として、防除を行いつつ計画的に樹種転換を進めていきます。

  • (1)予防対策
    松くい虫の被害から防除区域内の松林を守るため、特別防除、地上散布、樹幹注入を実施しています。
    • 特別防除…ヘリコプターからの薬剤散布を、適正な実施基準に基づき、自然環境に配慮して実施しています。
    • 地上散布…地上からの薬剤散布を、特別防除が実施できない区域で実施しています。
    • 樹幹注入…松の樹幹への薬剤注入を、薬剤散布ができない区域の松に実施しています。
  • (2)駆除対策
    枯れた松の樹体内にいるマツノマダラカミキリの幼虫を駆除するため、伐倒駆除、特別伐倒駆除などを実施しています。
    • 伐倒駆除…その年に枯れた松を伐倒し、薬剤を散布して幼虫を駆除しています。
    • 特別伐倒駆除…その年に枯れた松を伐倒し、破砕(チップ化)して幼虫を駆除するもので、特に駆除を徹底的に行う必要のある区域で実施しています。
  • (3)樹種転換
    周辺区域においては、防除区域へのマツノマダラカミキリの飛び込みによる被害拡大を防止するため、造林事業や治山事業により、マツから広葉樹等への樹種転換を図っています。
  • (4)松くい虫被害対策推進協議会
    松くい虫防除の適正かつ円滑な実施を図るため、松くい虫被害対策推進協議会を開催しています。

4.ひょうご元気松(抵抗性アカマツ)

植栽された「ひょうご元気松」

ひょうご元気松とは、激害地のなかで奇跡的に生き残ったマツから選び出された、松くい被害に強い(="抵抗性)遺伝子をもつマツです。県立森林・林業技術センターで育てている、アカマツ25品種400本の母樹から採種された種子から育てた苗木です。

松くい虫被害跡地、松茸山等に植栽することで、抵抗性遺伝子を持った花粉が拡散し、松くい虫被害の強い性質を持ったマツが育つことが期待されます。

その他、松くい虫に関する情報については、関連資料の「松くい虫に関するQ&A」をご覧ください。

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