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更新日:2018年10月19日

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平成30年10月センター長メッセージ(神戸県民センター長 谷口 賢行)

「有馬山椒」を復活させる取組

山椒 有馬の山に自生する「有馬山椒」をご存じでしょうか?有名な「朝倉山椒」(兵庫県養父市発祥)とは異なり、枝に鋭いトゲがありますが、香りが豊かな山椒です。

 

 1960年代まで有馬地域の家庭では、野生の山椒の花や実を食べる習慣がありました。温泉街の旅館も山に木を持ち、有馬煮や有馬焼といった山椒料理でお客様をもてなしていたそうです。

 有馬煮は実山椒で海の幸を煮付けた料理、有馬焼は実山椒や粉山椒で風味づけをした魚や肉の焼物で、料理名に‟有馬”が付くと山椒を用いていることを表すほど、伝統あるものでした。

 高度経済成長期以降、このような習慣は失われていましたが、平成21年、有馬山椒の伝統を復活させるプロジェクトが始まり、その取組が広がっています。

 

 リーダーは老舗旅館『御所坊』十五代目当主の金井啓修さん。旅館で代々受け継がれたレシピ帳の山椒料理を再現するため、有馬の山中を歩くことからプロジェクトはスタート。苦労の末、野生の山椒の木を見つけられます。この木の一部を持ち帰り、神戸農業改良普及センターに原木維持を依頼。但馬の県北部農業技術センターで母樹の育成が始まります。

 平成25年には、母樹から育てられた苗木を北区大沢町の農家で生産開始。平成28年に実山椒を、平成29年に花山椒をそれぞれ初出荷。現在、450本の木で生産が進められています。

 

育成中の有馬山椒 昨年の1月には、地域に根ざした食文化や食材の保存に取り組むイタリアのNPO法人スローフードインターナショナル(SFI)が進める、食の世界遺産と呼ばれるアルカ(味の箱船)に登録された「有馬山椒」。 今後は、1,000本を目標に本数を増やしていきます。

 

 ところが、山椒は、「音がしても枯れる」と言われるほど育てるのが難しい植物です。乾燥や夏季の日差しに弱く、半日陰の湿潤で水はけの良い地勢を好み、水切れすると枯死しやすい性質があります。

 

 そこで、神戸農業改良普及センターでは、安定生産のために農家への栽培管理指導を続けています。また、栽培方法を実証するために、調査・研究を続けています。

 これからも、農家の皆さんとともに様々な取り組みを続け、伝統ある「有馬山椒」の生産拡大に寄与していきたいと考えています。

 

神戸県民センター長 谷口 賢行

お問い合わせ

部署名:神戸県民センター 県民交流室 総務防災課(企画防災担当)

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