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更新日:2025年5月29日

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令和7年5月センター長だより(神戸県民センター長 内藤 良介)

悠久の浪漫に思いを馳せる 湊川隧道と貯蔵酒「隧ZUI」

みなさん、こんにちは。
GW明けの5月10日(土曜日)・11日(日曜日)に、関西一円から8万人が訪れる神戸最大の音楽祭「新開地音楽祭」が開催されました。まち全体がステージになり、今年はメイン会場である湊川公園の北西に位置する湊川隧道も初めて会場となりました。隧道内に“もや”がかかって(6~9月ごろによく見られます。写真はもやが晴れてからのものです。)幻想的な雰囲気の中、坑内にしっとりと響き渡る独特の音が奏でられました。

 新開地音楽祭1  新開地音楽祭2

湊川隧道については、以前のセンター長だよりでも少しお話させていただきました。
※ 令和6年8月センター長だより

 

明治期に川の流路を付け替えるという大工事によって完成した湊川隧道。
川の付け替えが行われる前の旧湊川は天井川であったため、東西交通の妨げになるとともに度々氾濫を繰り返し、さらに六甲山付近の上流から押し流されてくる大量の土砂が神戸港に流れ込み、港が埋もれてしまう恐れもありました。こうした問題を背景として、当時としては世界最大級だった河川トンネルの建設をはじめとする大事業が実施されました。この湊川付替えは、同時期に行われた烏原貯水池等の水道事業、兵庫運河における港湾修築事業(いずれも神戸市兵庫区内)とともに明治の神戸三大土木事業と呼ばれています。

煉瓦の積み方や石材の配置といった優れた工法とそれによって生まれた美しい意匠、地元有力者をはじめ日本有数の実業家が力を合わせて尽力した経緯、更には古湊川~旧湊川~新湊川に至る流路の変遷と神戸のまち・港の発展の歴史など、湊川隧道には好奇心・探求心を掻き立てられる魅力的な要素が詰まっています。

この奥深い隧道を広く知っていただこうと、地域の皆さんや県土木職OB、県民センターがさまざまな取り組みを行っています。月2回(土曜日午後)の定期公開、年一回の通り抜け、子ども達も参加できる大声大会など、いずれのイベントも毎回大変好評です。

湊川隧道について

隧道貯蔵酒「隧ZUI」

湊川隧道の魅力を語るうえで、欠かせない取り組みがあります。隧道内で貯蔵・熟成される日本酒「隧ZUI」です。隧道の中は年間を通じて温度が15℃程度と安定しており、さながら天然のカーヴ(ワインセラー)となります。その特長を活かして地域の活性化を図ろうと、令和2年から県・地元企業2社・隧道友の会が連携協定を締結しました。地元企業による日本酒の隧道内貯蔵・販売、協定メンバーの参画によるイベント開催などを通じて、これまで土木遺産の保存と魅力の発信を続けてきました。

お酒は春先に蔵入れを行い、180日間の熟成を経て10月頃に蔵出しをします。隧道内が限られたスペースだということもあり、貯蔵酒は年に3,000本限定という希少性の高いお酒です。天然カーヴで貯蔵し、人工の温度管理に頼らないということで、サスティナブルな取り組みにもつながっています。

今春、4者による5年の協定期間が満了を迎えたのですが、県や友の会はこの貯蔵事業を今後も続けていきたいと考え、この度公募による事業者選定のプロポーザルを実施し、新たな「隧ZUI」の取り組みが始まる運びとなりました。

私も日本酒が大好きで、2023年、2024年蔵出しのものをいただきました。自然貯蔵の影響なのかまろやかな味わいが特徴なのですが、何よりこのお酒は「浪漫を味わう」ところが他には無い魅力となっています。より多くの方に「隧ZUI」を知っていただく・味わっていただくことによって、更なる湊川隧道ファンを増やし、この先もみんなで大切に隧道を保存・継承していきたいと考えています。皆さんも悠久の歴史に浪漫を感じながら、「隧ZUI」を楽しんでください。

 連携協定
 4月24日(木曜日)「湊川隧道の保存・活用に向けた連携と協力に関する協定」協定締結式の様子

   隧
  隧ZUI(左から2020年、2021年、2022年、2023年、2024年に蔵出し)

今年は湊川・新開地誕生から120年

湊川隧道は近代以降の神戸の発展の功労者でもあります。

湊川・新開地は、川の付け替え(1901年)によって、旧河川敷が埋め立てられた地にできた歓楽街です。隧道工事がなければ天井川だった旧湊川の氾濫は治まりませんでしたし、河川で分断されていた神戸を一つにすることや西洋・日本文化が融合するハイカラ神戸を育むこともなかった、といっても過言ではありません。

今年は1905年のまち開きから誕生120年の節目を迎え、今秋に多彩な記念イベントが予定されています。

まず11月1日(土曜日)・2日(日曜日)に喜楽館を中心とした街全体で落語まつりが開催されます。地域の活性化に尽力されている新開地まちづくりNPOが中心となって、各会場での落語会のほか、新開地商店街のお店に落語家がスタッフとして出没する企画も検討中だとか。神戸県民センターも兵庫区のみなとがわホールで初心者向けの落語会を開催し、笑いの裾野を拡げます。新開地の街中に笑いが響き渡る2日間となるでしょう。

さらに同じく11月には、恒例の湊川隧道通り抜け、そして神戸土木事務所や隧道友の会が中心となって、湊川新開地誕生120周年を記念した講演・講談会を企画中です。

神戸の礎となった湊川の付替え、新開地の誕生に思いをはせる秋になりそうです。楽しみにお待ちいただくとともに、先ずはこれからの暑い夏に向けて年中ヒンヤリ快適な湊川隧道を観に来てください。入場無料ですよ。

湊川隧道の年間スケジュール(一般公開日等)(外部サイトへリンク)

最後に

ご紹介した湊川隧道や新開地の取り組みはいずれも、地域の住民・団体の主体的な関わりなくしては続けていくことができません。皆さんの熱意によって成り立っているものばかりです。市内には他にも地域の皆さんと我々行政によって、我が地域への誇りと愛着を育み、市内外への魅力を発信している魅力的な取り組みがたくさんあります。神戸県民センターはこれからも神戸管内の皆さんの地域に対する想いや活動を大切にしていきたいと考えています。

 

兵庫県神戸県民センター長
内藤 良介

 

≪以下に「過去の神戸県民センター長だより」のリンク先を掲載しています。≫

 過去のセンター長だより

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部署名:神戸県民センター 県民躍動室 総務防災課(企画防災担当)

電話:078-647-9071

FAX:078-642-1010

Eメール:kobe_kem@pref.hyogo.lg.jp