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更新日:2025年6月12日

意見書 第63号

地方消費者行政維持、強化のための対策を求める意見書

 

 令和6年版消費者白書によれば、令和5年の消費生活相談件数は90.9万件であり、消費者被害、トラブル額の推計は、過去最高の約8.8兆円に達した。65歳以上の相談件数が契約当事者全体の30.5%となり、高齢者の消費者被害、トラブルが大きな割合を占めており、被害態様についても多様化、高度化している。

 この傾向は兵庫県内においても同様であり、住民にとって身近な地方公共団体の相談体制の維持、拡充が重要であることは明らかである。

 国は地方に対する支援策として、交付金を措置した。交付金は、補助率10割で相談員の人件費にも充てることができるものであり、長い間、相談体制を下支えしてきた。

 しかし、全国的にその活用期限が迫っており相談が受けられる体制を維持していくことができるのかが大きな課題である。

 地方公共団体の自主財源は、交付金がなくなっても現状の施策を維持できるほど十分な程度に達しておらず、交付金が終了してしまうと、自主財源への移行が難しい小規模自治体において、相談窓口の維持が困難になったり、交付金で実施してきた啓発、消費者教育、消費者被害防止対策等の事業の継続が困難となり、縮小される可能性が高いと予想される。

 国は、PIO-NET刷新及び消費生活相談のデジタル化を進めているが、地方公共団体に多大な経済的負担を生じることが危惧されており、その負担によっても消費生活相談業務を始めとする地方消費者行政が縮小、後退するおそれがある。

 PIO-NET情報は、国の法執行の端緒や立法政策の根拠となるものであって国の事務の性質を有する消費者行政費用と言え、全国各地の消費生活相談情報の収集が適時、適切、安定的に行われることが国の消費者行政にとっても必要である。

 よって、下記事項について特段の措置を講じられるよう強く要望する。

1 地方消費者行政推進事業に対する地方消費者行政強化交付金の交付期限を相当期間延長すべきであり、少なくとも、同交付金と同様に消費生活相談員の人件費にも充てることができる交付金等の財政支援を早急に措置すること。

2 PIO-NET刷新及び消費生活相談のデジタル化において地方公共団体に生じる費用を国において措置すること。

3 消費生活相談情報の聴取及びPIO-NET登録事務等、国と地方公共団体相互の利害に関係がある事務であって、国全体の消費者被害防止の意義を有する事務として円滑な運営を推進する必要があるものについて、地方財政法第10条を改正して国の恒常的な財政措置を検討すること。

 

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 

令和7年6月12日

兵庫県議会議長 浜田 知昭

衆議院議長 額賀 福志郎 様
参議院議長 関口 昌一 様
内閣総理大臣 石破 茂 様
内閣官房長官 林 芳正 様
総務大臣 村上 誠一郎 様
財務大臣 加藤 勝信 様
内閣府特命担当大臣(消費者および食品安全) 伊東 良孝 様
消費者庁長官 新井 ゆたか 様

お問い合わせ

部署名:兵庫県議会事務局 調査課

電話:078-362-3720

FAX:078-362-9031

Eメール:Gikaitosho@pref.hyogo.lg.jp