更新日:2021年12月8日

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局長メッセージ(令和3年12月)

    秋の深まりとともに、丹波路は旬の味覚や紅葉を求めてお越しになる多くの観光客で賑わっています。一見すると、これまでの秋の観光シーズンと何ら変わらないように見受けられますが、コロナ禍以降、現地発着の体験ツアー、いわゆるマイクロツーリズムが人気を博し、個人客の割合が増えつつあります。

   そして、このマイクロツーリズムの隆盛とともに、今注目を集めているのが農家民宿です。農業者の方だけでなく、移住者(非農業者)の方も起業して農家民宿を営むケースが増えています。現在丹波管内には27の農家民宿が存在します。

※「農家民宿」とは、旅館業法上の営業許可を取得した農林漁業体験民宿業を営む施設。「農林漁業体験民宿業」とは、施設を設けて人を宿泊させ、農林水産省令で定める農村滞在型余暇活動又は山村・漁村滞在型余暇活動に必要な役務を提供する営業をいう(「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」(平成7年施行)第二条5)。

   先日この農家民宿の先進地であるイタリアの事情を学ぼうと、関西国際大学の高根沢均准教授を柏原にお招き、同国のアグリツーリズモ(農業観光)についてご講演いただきました。

   先生のお話によると、イタリアでは、アグリツーリズモを営む事業者数は、農家全体の約4分の1に相当する2万5千近くにのぼり、その8割以上が宿泊業を営んでいます。年間約370万人(2019年)もの人がアグリツーリズモを利用し、宿泊者数はB&B(Bed&Breakfast)などを上回っています。利用者の約半数がインバウンドだそうで、外貨獲得という面でアグリツーリズモは地域経済の浮揚に大きく貢献しているとのことでした。

                アグリ外観     アグリ厨房

                          アグリツーリズモの宿外観                                厨房にて(右端が高根沢先生)

 

   普及度という点ではまだまだイタリアには及びませんが、丹波でも現在27の農家民宿が営業しています(2020年12月現在)。丹波県民局では、今年度TAMBAブランド農産物をじっくり楽しむ拠点として、この農家民宿の魅力向上支援に取り組んでいます。これから、オーナーの方を対象に研修会や交流会の開催を予定していますが、先日事前調査ということで、担当者が農家民宿に実際に伺って取材させていただきました。

   ご訪問させていただいたのは、「古民家ゲストハウスやまぼうし」(丹波篠山市大芋)、「農家民宿花乃家」(丹波市山南町谷川)、「農家民宿はるり」(丹波市青垣町西芦田)の3軒です。いずれも、近年オープンした農家民宿で、ご家族・ご親族から家屋を引き継いだオーナーが農業や他のしごとを兼業しながら農家民宿を営んでおられます(2軒はIターンの方がオーナーです)。

 

                          やまぼうし       やまぼうし宮林

                       「古民家ゲストハウスやまぼうし」外観         オーナーの宮林慶子氏

 

   3軒とも一棟貸しもしくは一日一組限定で営業しておられます。宿泊客はやはり京阪神からの観光客がメインですが、最近は移住希望者のお試し滞在も増えているとのことでした(県民局ではお試し滞在支援制度を設けています)。「はるり」の蘆田オーナーは移住希望者に生の声を発信するアンバサダー(タンバサダーと呼称)を務めていただいていますが、宿のゲストには「ここでの生活の善し悪しを包み隠さず話すようにしている」とおっしゃっています。

   宿泊客で意外だったのが、地元関係の利用です。同窓会や子どものお泊り会、部活の合宿など、地元の様々な用途に活用されています。外との交流だけでなく、内なる交流の拠点にもなっているのが、農家民宿の現状のようです。

   なお、インバウンドについては、いずれの宿もコロナ禍前は実績があり、今後状況が改善すれば積極的に受け入れたいとの声をお聞きしました。「はるり」の蘆田オーナーは、「外国人旅行者同士が出会い、いろいろな話ができる場」にしていきたいと今後の抱負を語っておられます。

 

                     花乃家外観       はなのや竹田

                                   「農家民宿花乃家」外観                          オーナーの竹岡正行氏

 

   農家民宿の目玉である体験ツアーについては、いずれも工夫を施しておられます。「やまぼうし」では、地元農家と連携し田植え体験や黒枝豆の収穫体験を行っておられます。「はるり」では、あまご釣りやパラグライダーなどの体験もできます。「花乃家」では、農業体験のほか、地元(笛吹村)の方との交流会(月1回第3日曜日)なども実施されています。

   また施設面でも、それぞれ特色をうち出しています。例えば、「やまぼうし」、「はるり」には、石焼ピザ窯があり、ピザづくりを楽しめます。また「やまぼうし」では、最近増えているペット連れのゲストに対応してドックランを設けています。「花乃家」では、酵素肥料による酵素温熱風呂に入浴できます。

 

                              はるり外観       はるりあしだ

                                     「農家民宿はるり」外観                                 オーナーの蘆田真博氏

 

   このように様々なアクティビティを行える農家民宿ですが、基本は素朴さや周囲の自然の豊かさが最大の魅力といえます。「やまぼうし」の宮林オーナーは、「田舎のおばあちゃんの家に行く感覚で来て欲しい」と言っておられます。「花乃家」の竹岡オーナーは、「目の前に実際に広がる自然の景色」、「居心地の良い空間」を楽しんでもらいたいとおっしゃっています。

   今回の聞き取り調査から改めてわかかったことは、農家民宿といっても決して一括りにできず、オーナーの個性や考え方によって、宿ごとに特徴があるということです。ターゲット層も宿泊料金も、それぞれ違います。取材した先の1つ、「花乃家」の竹岡オーナーも、「農家民宿には様々な方向性がある」と言っておられます。

   この農家民宿の多様性を魅力として発信する一方で、丹波全体として一つのブランドイメージを形づくっていきたいとも考えています。高根沢先生のお話では、イタリアでは、アグリツーリズモで扱う食材の地元比率や建物の修復基準(伝統的工法の採用)が地域毎に決められているそうですが、今後交流会の場などで、ブランディングに向けて丹波らしさについて議論を深めていきたいと思います。

   また、農家民宿間の連携も、今後の課題と認識しています。ネットワーク化により、他の体験や食事を希望するゲストに他の農家民宿のメニューを紹介したり、繁忙期に互いに宿泊希望者を融通しあったりすることが可能になると考えられます。宮林オーナーのお話によると、最近「やまぼうし」を含む近隣の農家民宿3軒で「女将の会」を結成し、交流を深めているそうです。まずはこのようなオーナー間の主体的な取組を応援していきたいと思います。

   農家民宿については、地元の食材、郷土料理を味わうオーベルジュ的な役割のほか、様々な体験ツアーの発着基地(集落見学ハブ)や移住相談窓口としての役割も期待されます。また最近一部の施設では、WiFi環境が整備され、コ・ワーキングスペース的な利用も可能になりつつあります。丹波県民局では、今後農家民宿を観光施設としてだけでなく、集落の情報発信・交流拠点としてもその振興方策を検討していきたいと考えています。

   丹波地域の農家民宿については、今年度調査をもとに今後、丹波観光ポータルサイト「ぶらり丹波路」(外部サイトへリンク)で、特設ページをつくってコト体験ツアーとともに紹介する予定です。そこには、きっとみなさんが気にいるお宿があると思います。是非皆さん丹波の農家民宿に滞在し、丹波のありのままの魅力を体感してください。

(謝辞)ご講演いただきました関西国際大学高根沢均准教授、取材にご協力いただきました「古民家ゲストハウスやまぼうし」オーナー宮林慶子氏、「農家民宿花乃家」オーナー竹岡正行氏、「農家民宿はるり」オーナー蘆田真博氏には、この場を借りて改めて感謝の意を表させていただきます。

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   緊急事態宣言は解除されていますが、依然として感染再拡大への十分な警戒が必要です。引き続き、感染収束に向けた対策の徹底にご理解、ご協力をお願いします。

お問い合わせ

部署名:丹波県民局 県民交流室

電話:0795-72-0500

FAX:0795-72-3077

Eメール:tambakem@pref.hyogo.lg.jp